ペルソナシリーズは初プレイ。ネタバレあり。
クリアまで100時間以上かかる大作の内に入ると思うけれどシステムがわかってからはのめり込んでいった。
RPGをなす要素はいくつも挙げられると思うが『ペルソナ5ロイヤル』は隅々まで設定が行き届いていて綻びを感じるシーンが少ないからプレイしている最中に興醒めして我に返ることがとても少なかった。
作中で何度も話題に上がるように怪盗団の振る舞いは端的に言えば私刑であることに変わりはない。ハイファンタジーの世界観をとっているが怪盗団にしても敵にしても超法規的措置がとられることはなく、あくまで現代日本の法規に基づいて事が流れていく。
これが主人公サイドであっても徹底されたからこそ、獅童の非道さと前提としてあるべき法規をすり抜けてこちらを手籠にしようとする敵としての強大さが引き立った。
また、オクムラパレス攻略前後で怪盗団がその本分を忘れかけ浮き足立ったところで、不幸が訪れるというのは、直接の関係は無いにしろしっかりと釘を刺されたかたちで、怪盗団にもプレイヤーにもしっかりフィードバックされている。
ペルソナ覚醒シーンが激しい頭痛や (癒着した?) 仮面を剥ぎ取るという強い苦痛を伴っているのも、綺麗で真っ当ではない邪の道に入ろうとしているということを示しているような気もする。
ではハイファンタジーRPGとして地味なのかというとパレス、オタカラ、改心といった要素がきちんと王道たらしめてくれている。
予告状を送ってオタカラを奪取する決行日はBGMが“Life will change”になり、主人公・ジョーカーの言葉を借りれば「ショータイム!」という感じ。
強敵が待ち構えていることはわかっていてそれに臆するより、美しく反逆してみせようという気概を見せつけんとする怪盗団の心意気がよく表れている。
Persona 5 OST 04 - Life Will Change
戦闘やペルソナの合体もほどよい難度でよくできているなと思った。ザコ敵でもうまく弱点を突かないとレベル差で上から殴るプレイがしづらいのでまじめに相性を考えたりテクニカルを狙おうという気になる。
耐性が優秀な敵であってもテクニカルを狙うという救済が用意されているのがよくできていると思う。
キャラクターもみんな魅力的で、ペルソナ覚醒シーンはどれも熱い。主人公と春が特に好き。
双葉と春は設定がそんなに詰められていないかんじがしてちょっと惜しい。双葉のハッカー設定はさすがにデウス・エクス・マキナ感がありすぎではと思うし、春の周りをそんなに信用していない設定は言うほど作中で出ていない気がする。
とはいえ春は戦闘で貴重な反射持ちで強いし、かわいいし、お気に入りです。これで先輩なのがポイント高い。
大作であることに異論の余地はなく、久しぶりにRPGをやってもクリアできるくらいに惹きつけられる楽しい作品だった。この年になってもRPGのストーリーに熱中できると思っていなかったので驚いているし、それくらい反逆をテーマにした怪盗団はかっこよかった。