観た。
物語として伏線の回収は70%くらいといったところ。レイラのギアス (?) は発現したものの、どのようなものなのかということについては言及されなかった。
突然 SF じみた展開が進んで戸惑っていたら、司令室に侵入されてレイラ以外全員虐殺されて「えっ……」となった。
少しずつ攻め入れられてきていてのことだったので緊張感が高まっていたしけっこうショックだった。オペレーターの女の子のうち軍属の二人が銃を装備したところでフラグだな……と思ったけど、まさか全員とは、みたいな。旧劇のエヴァを思い出す。
とはいえそのあと時間が巻き戻って、別の (たぶん悪い方の) 驚きがあった。そんなのありか、みたいな。ちょうど『僕だけがいない町』のリバイバルに似ている。これはちょっと冷めた。と同時に、みんな死なずにすんでよかった、とも思った 。CV が早見沙織さんのオペレーター (ヒルダ) が好きだったので……。
シリーズを通してもうちょっと E.U. の興亡が描かれるのかと思いきや、兄弟の話だった。そういえば『反逆のルルーシュ』も兄妹 (兄弟) の話だった。
シンがアキトにギアスをかけた理由は、なるほどねと感嘆した。4章で自ら殺した人たちの幻影と対話する様子からしてなにかありそうではあるなと匂わせていた点がきっちり回収された。伏線を回収してから再度回想されたアキトにギアスをかけるときの台詞はよかった。
戦闘シーンは KMF が出てこない最初の数分だけでも随分盛り上がりを見せて、感動した。地形を活かしたトラップとその攻防が本物の戦闘らしかった。
『反逆のルルーシュ』の戦術は金と物量にものを言わせて「すべてお見通しさ」→「そんなバカな」→「こんなこともあろうかと」がお決まりだったので、『亡国のアキト』の限られたリソースをやりくりしてぎりぎりの戦闘を繰り広げる、というのは終始緊張感があってよかった。策としては上手だけど、力で押し切られそうでドキドキするかんじ。
KMF が出てからは色が似てアレクサンダと敵機の区別がつきづらかった。雑魚が捌けてからは気にならなくなったけど。
『反逆のルルーシュ』では敵・味方問わずにどんどんあっけなく脱落していくので一体どれだけの犠牲が出るのかとはらはらしたが、けっきょく二人だけだった。
最後のシンとアキトの戦いにレイラがほとんど介入することがなく決着したのはよかったと思う。中盤で発現した謎の超常ギアスでその場にいる人間の意識を共有させて和解させる、といったダブルオーガンダム的な女神オチがつきかねなかったし、実際レイラのギアスはそういうものであると匂わせる伏線があったように思う。
とはいえ、そこは対となる兄弟の話ということで余計な茶々を入れるような形にはならなくて幸いといったところ。
ジャンとシンの最後の会話も、そこだけ取り出すと陳腐でさえあると思うが、中盤までのシンの過去を知ると唐突でもなく納得できる。
一方でスマイラスは小物のままだった。
いろいろ無理矢理押し込められた感じもあれば、シリーズ2つに挟まれた難しい立ち位置でありながらきちんといいオチがついたという感じもある。
物語中の、あるいはメタな視点での (死に対する) 緊張感が全編通して高かったこと、CG で描かれた KMF (特にアレクサンダ) の戦闘シーンの迫力など、劇場版としてとても楽しめた作品だった。