尾花大輔「その成れの果て」 : 東山 アーティスツ・プレイスメント・サービス(HAPS)
同僚に勧められて見てきた。
本業がデザイナーの方で物を撮った写真を使った空間デザインの展示ということでいわゆる写真展というかんじではないかもしれないが、それ目当てに訪れて楽しめるくらいには強度のある素敵な内容だった。
在廊されていたので少しだけお話をさせてもらい、感銘を受けることもあった。
「よくわからないものが好きで、そういうものを撮っていたいんです」というようなことを仰っていて、はっとした。
自分もかつてはそういうことを考えていたはずだけれども、パーソナルな感動をより広く伝えたいと考えるあまりいつのまにか逆転してしまい、広く伝わる写真を、という思考に囚われていたことに気が付いた。
もちろん伝えることを諦めず伝え続けたいけれど、そのために自分の琴線を歪めるのは違うな、と思った。
展示されている写真はiPhoneで撮れているということも、実感としてよく写るカメラだということはわかっていたものの実際プリントアウトして眺めるのに耐えているのを見ると舌を巻いた。
こじんまりとした空間で、それが思いがけずほどよい距離感で心地よかった。
在廊されているということで内心気が重かったけれど、他人の存在をこんなに身軽に感じられるのも不思議だなと思う。
こういう規模の展示は安心できるので、いつかやりたい。