ぶらりと電器店のカメラ売り場でGRD3を手にとったりしていたら店員さんに話しかけられた。
「デジカメは買い替えですか?」
趣味で写真やろうとおもって、それでカメラのリサーチしてるんです、と言ったら、GRに目をつけるとは渋いですねえ、みたいなことを言われた。
GRはいいと聞いたんで、ははあ、みたいな会話をした。隣に置いてあるGXRを指して「GXRはお考えではないですか?」とか、いろいろ。
特にこういった写真が撮りたい、というのはなくて、漠然と写真を撮りたい、強いて言うなら風景とかスナップかもしれない、みたいなことを言った。
それなら一眼レフのほうがいいかもしれませんね、みたいなことを言う店員。しばらくレンズの話だとかをした。
店員としての営業トークだといえばそれまでだけど、「F値が〜」とか「単焦点で〜」とか、カメラ用語がばんばん飛び交うのが楽しくて仕方がなかった。周りにカメラのはなし、写真のはなしをできる人がいなくて、Twitterで悶々とした写真への興味を投稿するだけだったけど、なにかが変わった気がした。
そういう話の流れで、「一眼レフを買うならK-7がいい、って考えているんです」っていうことを言ったら、ペンタックスですか、ははあ、みたいな反応をする店員。
ペンタックスはレンズのバリエーションがニコンやキャノンと比べるとやっぱり見劣りしますね、でもスターレンズとかリミテッドレンズは高いけどいいですね、などと店員。
一眼レフを買うとなるとレンズも選ばないといけないですが、どういったものを考えていますか?と聞かれて、「単焦点を考えています」と言って、シグマの30mmかリミテッドのマクロですかね、みたいな話になった。
話が盛り上がって、店員さんが「お客様には、ぼくの勝手な言い分ですけど、ぜひ、カメラ、K-7を買っていただきたいな、と考えているんですよ」と言った。懐疑的というかネガティヴなことばかり考えてしまう自分は、「これが戦略的なトークだったら販売員パネェ」とか考えてた。
でも、その場の盛り上がりは(おれの中で)すごいことになっていて、結局、購入には至らなかった(予算とかいろいろあるし…)けど、ショッピング・ローンの話とかも聞けた。値段もけっこういいかんじに値下げします、みたいなこと言われた。
なんだかここまで話が進んでいて購入に至らないのはなんか申し訳ないなあ、とか、でもあまり負い目みたいなのを感じはじめると散財しまくって破滅するか非コミュに走るか、どっちにしろよくないなあ、とか考えた。
けっきょく、おれはカメラを買っていないし、店員さんも購入をとりつけることができなかったんだけど、どっちも得していないということはないとおもっていて、少なくともおれは得をしたとおもっている。
カメラや写真の話をできる人と会えてそれだけで嬉しかったし、写真へ向いているおれの好奇心だとかを知って認めてくれた、ということがとても嬉しかった。
一応、おれにK-7の購入意欲はあるわけだし、ただ、その時が今回ではなかったというだけの話だとおもっている。
ネガティヴな言い方だけど、たとえ戦略的トークだったとしても、じゅうぶん騙せているし、おれは幸せだし、価格コムなどで探せばいくらでも安い店はあるけど、なんていうか、あの某電器店であの店員さんでK-7を買おうとおもった。