先行試写会で見てきた。核心に触れない程度の感想。
うーん『リズと青い鳥』の執拗なかんじがものすごかったし、『聲の形』に続くウルトラリッチ音響体験が最高
— 丸の内スープOLストック (@aereal) 2018年4月6日
ひとつ『リズと青い鳥』について言えるのは百合とかチャチなものではなくほんとにみぞれと希美の話というか、みぞれの話……に見せかけた誰かの話で、こんなにパーソナルなできごとを覗いてしまっていいのかという罪悪感と戦うことになる。
— 丸の内スープOLストック (@aereal) 2018年4月6日
特別という呪いを自分にかけて克服しようとする麗奈、感銘を受けて同じように呪いをかけて対等になろうとする久美子、始めは他者にかけられた呪いを気付かぬうちに自分でもかけていたあすか、呪いをかけたのは自分だから解くのも自分だと教えた久美子。ちゃんと繋がっていていいなー
— 丸の内スープOLストック (@aereal) 2018年4月6日
そう考えると麗奈はあすかを助ける大元のきっかけであるといえるし、そうするとテレビシリーズ2期の全国大会前に麗奈のエピソードが挿し込まれるのに納得感が生まれたどころかめちゃくちゃ尊くなってきた。
— 丸の内スープOLストック (@aereal) 2018年4月6日
それでみぞれと希美について考えると、この人たちは特別であることに鈍感であるというか、そういうレベルではなくもはや特別を忌避して目を背けているように見える。特別の輝きはnoblesse obligeのようなもので影をさすこともあるし、そのツケを払うことにもなる。
— 丸の内スープOLストック (@aereal) 2018年4月6日
今回、落ちが着いたのだとすると、お互いにツケを払い合って文字通りに清算したのだと思う。でも当人たちにとって都合がいいとか気持ちがいいとはまた別の話で、やっぱり不穏なかんじがする。そしてその予感が当たるかどうかの答え合わせは4月5日に発売された短編集でできたのでみんな買って読もう。
— 丸の内スープOLストック (@aereal) 2018年4月6日
小心者で見栄っ張りのオタクなので普段はすかした顔しているけど、見栄を失うくらい激ヤバムービーだったので『リズと青い鳥』はほんとうに罪な映画だから公開されたらみんな見て。あと『響け!ユーフォニアム』も見て。
— 丸の内スープOLストック (@aereal) 2018年4月6日
原作に登場した「練習中にある曲の圧倒的な演奏で聴衆を圧倒する」というシーンは、素人に暴言を吐かせてもらうと、小説という媒体では易々と表現できるが映画では音楽がある以上直接的な表現を避けられぬことで、とてもハードルが高かったけれど、劇場で見た感想としてはしっかり越えてきたということです。
音楽的にはそこがピークなんだけど、その演奏の流れをさらに越える、静かだけど燃えるような二人の人物のやりとりは映画を締め括るに相応わしくとても美しかった。
僕は、みぞれのとても単純な欲望に駆られて動き続けるさまを歪だけどとても美しいと思うし、そのシンプルな願いは満たされるといいなとずっと思っているので、どうしても偏った見方をしてしまうけれど、それにしても希美はずるいなと感じる。
ひらりひらりとかわし続けて、なにもかもごまかす。けれど、みぞれのことが気になる。しかし正面から向き合うことはない。自分がちゃんと向き合わなくても、みぞれはすぐそこにいる。自分の一番を注がなくても、自分はみぞれにとって一番であり続ける。安全なところから半身で、みぞれの全身全霊を奪いつづける。そういうありかたをずるいと思う。
だから一連のできごとについて、しっぺ返しのようだと思った。みぞれを認めてあげられるのは自分だけ。自分は常に与える側で、みぞれはそれを享受する側。そういった前提を根本から覆される。嫉妬することすら屈辱。自分が橋渡しした音楽によってとどめを刺される。何もかもズタズタにされたけれど、みぞれは「希美と繋がるために音楽を続けてきた」と言う。どれだけ惨めな目にあってもみぞれは手を離さない、離してくれない。
もはや二人のあいだのできごとですらないような、一人と一人の空回り。その空回りのひとつひとつを零さずに閉じ込められた映画として、とてもとても素晴らしいものでした。