ひとり暮らし

この記事は筆者が見た夢を一人称視点で叙述した内容です。事実ではなく、実際の人物等とは一切関係ありません。

関西に引っ越してちょうど7年が経ち、もうすぐ8年目になろうとしている。

 

家の近くに業務用スーパーがあって、そこでパスタやレトルトのカレーを買い溜めては毎日自炊していた。よくやったなあ。

 

学生でお金がなかったのでバスや電車の初乗り運賃が惜しく、二駅くらいなら歩いていた。

京都でよく遊んだのでJRの終電ぎりぎりまでいて摂津富田駅から歩いたり。

 

父だった人にはずっと「お前は甘えている」「だから親の言うことを聞け」というようなことを散々言われつづけてきたし、一人暮らしをはじめるころには実家には母ひとりだけだったので心配をかけたくない気持ちもあって、絶対に一人暮らしで困っても親に助けは請わないと誓った。

仕送りはもらっていたから頼っていないというと嘘だけれど、少なくとも事前にお互いのあいだで取り決めたかたちの援助のみで生活するということは達成できたといっていいはず。

 

実家にいるときから、自分は一人暮らしが向いていると思っていて、実際、言い訳が立たない暮らしというものは、尊ぶ時間にも省みる時間にもあふれたとても豊かなものだと今でもそう思う。

 

だけど時々なくなったものについて気を巡らせることもある。

たとえば、朝、起きるのがすこしむずかしくなった。

ドアをかりかりひっかく飼い犬も、リビングのテレビをつける母もいなくて、京都に引っ越したいまでも、家はあのころよりずっとずっと静かすぎる。