最近読んだ本

この記事は筆者が見た夢を一人称視点で叙述した内容です。事実ではなく、実際の人物等とは一切関係ありません。

読んだ順。

ボトルネック (新潮文庫)

ボトルネック (新潮文庫)

最初に読み終えた時はものすごく後味が悪いなあと思った。しかし気になって細かな言い回しに気をつけて終盤を再読してみると、最初の印象は薄れてもうちょっとニュートラルで定まっていないのかもしれないと気付いた。

リョウのいる世界ではサキの存在は示唆されているけど、サキの世界ではリョウは恐らく存在していなさそう。リョウのいる世界にサキは存在できないけど、サキのいる世界にリョウは存在できる (= 辻褄が合う) と思う。

インシテミル (文春文庫)

インシテミル (文春文庫)

映画は評判がよろしくないと聞くけど話はおもしろかった。あまりミステリに詳しくないけれども、なにか演出されててしかしそれが認知されていない (大多数の登場人物が気付いていない) のがあからさまにおかしくて、そこから展開してくるんだろうな、ということにはすぐ気がつく。

なんとなく話のつくりが『ダンガンロンパ』に似ている気がした。『ダンガンロンパ』よりずっと論理的というか作法に則っているとは思うけど。

須和名は最初の不気味な印象通りだったので面白みには欠ける。

水の時計 (角川文庫)

水の時計 (角川文庫)

この人は、現実社会に存在する問題を扱いつつフィクションとして消費するでもなく説教くさい風刺にするでもなく、淡々としかし少し辛辣に寓話に変えるのが上手だなあと思った。『ハルチカ』シリーズ然り、『向こう側の遊園』然り、『1/2の騎士』然り。

『ボトルネック』を読んだ後だと少し都合主義に見えて安っぽくも感じる結末だけれども、そこまでに至る話の流れを思うとこれくらいでいいよなと思うし、米澤穂信だったらきっと……と考えてしまった。

米澤穂信は古典ミステリを引用するけど初野晴は童話を引用するところに作風というかスタンスが現れている気がする。

折れた竜骨 上 (創元推理文庫)

折れた竜骨 上 (創元推理文庫)

折れた竜骨 下 (創元推理文庫)

折れた竜骨 下 (創元推理文庫)

長いけどおもしろくて1日で読み終えた。中世イングランドを舞台にしたローファンタジーであり、パラレルワールドのイングランドを舞台にした歴史小説っぽくもあり、また殺人事件を解決するミステリでもあって、丁寧につくられた世界観に没入できた。

米澤穂信作品はレトリックに溺れることのない素朴で淡々とした文体が多く、位の高い語り手で多いのも頷ける気がするし、『折れた竜骨』のような歴史小説めいた作風によく合う。

解決編が消去法で進むのが新鮮。ホームズっぽくあり、また結末を引き立てる演出にも役立っているのが心憎い。