この記事は筆者が見た夢を一人称視点で叙述した内容です。事実ではなく、実際の人物等とは一切関係ありません。

日々、何かを見て聞いて嗅いで触って味わって、覚えて、忘れる。昨日の自分から離れて自分が自分でなくなる。

でも、そうやって変わらないままでいようとすれば、変わるべきものが変わらないままの、醜いなにかになってやはり今の自分でなくなってしまう。

自分が自分でなくなり、お気に入りのことも忘れ、今日歩いた道で横切った猫のことも忘れてしまうのは、避けられず、避けてはいけないことなのだ。

だから眠って、目が覚めた瞬間から自分でなくなるために、ここにすべてを書いて、自分が自分でなくなるための準備をしないといけない。

ぜんぶここにあるから、ちゃんと自分でなくなることができる。

何もかも捨てて忘れたあとで、それでもやっぱり残るものがあれば、それはなにか特別に名付けられるべきものだろうと思う。

そんなものがいくらあるかわからないし、あるなんて期待していないけれど、それでもあるかもねという気持ちだけを抱いて、こうして日記を記し、眠り、また忘れていくのだ。