とうとう「セルジオ越後」が聞けた、聞けてしまった!
アンコールで舞台袖から出てきた TK が再びギターを手にとって鳴らし始めたとき、6弦の G に続いて5弦の C, 4弦の F, B♭, D, 4カポであることはもうわかっていて、これで1弦にカポをしなければ「シークレットG」だと思った。VIRGIN KILLER SUICIDE のファイナルで弾き語りを披露したし、凛として時雨もソロも、4カポの曲は限られている。だから早く1弦を鳴らしてほしかった。
そして鳴った1弦は G で、つまりこれはあの曲しかない、でも、本当に? 間違いなんじゃ? いやいや、でも E♭から始まるのは、あ、A だ! この Gm9 の A, 2弦7フレットの A は間違いない……!
最初の E♭9 が響いた瞬間にぶわっと込み上げてきてずっと釘付けになっていた。
「行方知れず 青木華絵」のあっけない幕切れは信じ難かったけれど、しかし、呆然としたまま照明が上がって、それでやっと終わった、聞けたのだ、という実感が湧いてきた。
聞いてしまった。聞いてしまったよ。ずっと聞きたかった曲だ。本当に本当に聞けてしまった。しかも、こんな特別な、贅沢な、ああ、本当にいいのかな……。