『響け! ユーフォニアム』第1回定期演奏会

この記事は筆者が見た夢を一人称視点で叙述した内容です。事実ではなく、実際の人物等とは一切関係ありません。

『響け! ユーフォニアム』の吹奏楽コンサートに行った。


自意識過剰なので自分がこの作品を好きなのは吹奏楽 (部) に未練やその他一物あってのことじゃないかとかウダウダ考えることしばしばであったが、会場で一曲目の「DREAM SOLISTER (wind orchestra ver.)」を聞いてどうでもよくなった。
それだけ力のある演奏だったし、自分自身、引き込まれた。それだけ引力を感じている、まだ持っている。

『海兵隊』と『暴れん坊将軍のテーマ』は指導前と指導後、律儀にそれぞれのバージョンで演奏された。

第一部はサンフェスでライバル含め演奏された3曲の座奏アレンジで締め括られた。何度聞いても「RYDEEN」はいいなと思うしアレンジも素敵。

休憩を挟んで弦バスとチューバとユーフォニアムによる「きらきら星」、トランペットとユーフォニアムによる「愛を見つけた場所」から第二部。

「愛を見つけた場所」はボツになってしまった当初のアレンジで、これは伴奏と主旋律という色付けがはっきりしたもので、当然ユーフォが伴奏主体。

これをボツにした理由はわかる気がする。あまりに線引きがはっきりしすぎているというか、歩み寄りがないというか。

これらのアンサンブルに続いて「プロヴァンスの風」と「三日月の舞」。特に「プロヴァンスの風」は習熟度が上がっているのが明らかで、本当にコンクール前の団体みたいだな、と思っていた。スネアのリムショットがよく決まっている。

最後は TRUE をボーカルに迎えての「DREAM SOLISTER (movie ver.)」。管楽器をオケに迎えても遜色のないボーカルは力強くて圧巻だった。指揮者はちゃんといるけど、それとは別に歌ものとして完全に演奏を支配していたのがすごい。

アンコールを挟んで「Starting the project」と「トゥッティ! (wind orchestra ver.)」の演奏。「トゥッティ!」の原曲からがらりと雰囲気を変えたしっとりとクラシカルなアレンジはメロディの美しさを引き立てていて、コンサートマーチ風の原曲を順当に発展させた「DREAM SOLISTER」とはまた違った輝きがあってとても好き。

そしてアンコールの最後はなんと「サウンドスケープ (wind orchestra ver.)」だった。まさかフル尺で聞く初めての体験が生でしかも吹奏楽アレンジとは思わなかった。

『特別になりたい』に始まる歌詞は、たぶん歌詞カードに並ぶ字面だけを眺めるとチープに映るだろうけど、それに説得力を与える歌が添っていてとてもよい曲。


吹奏楽の演奏を聞く機会のほとんどは、演奏する人たちと顔見知りだったりして、なんらかのウェットな繋がりがあった。

ホールの空気を震わせる管の力強さもそうだし、ステージ上で演奏している人たちになにかしらの親近感を見出すのはこれまでの記憶と地続きなできごとで、北海道と京都という離れた土地でほとんど似たような体験をするのは実に不思議なことだった。

途中、山岡ゆりさんがトランペットソロを吹くという出来事があり、イベントっぽい演出だなと思う一方で、宇治文化センターで「三日月の舞」のソロを披露するというのは言い様のない感慨があってしんみりした気持ちで聞いていた。

曲目も内容も文句のつけようがなく、個人的にも久しぶりに吹奏楽の演奏をホールでじっくり聞くことができてとても楽しかった。

惜しむらくはステージに向かって左手後方の席だったのでホルンの音がほとんど聞こえなかったこと。そのかわりユーフォニアムの音はベルの向きの都合でよく聞こえた。

ほんとうに楽しかったので11月の神奈川公演もどうしようか真剣に悩んでいる。