- Chocolate Passion
- High Energy Vacuum
- SOSOS
- Enigmatic Feeling
- DIE meets HARD
- I'm machine
- a 7days wonder
- Serial Number of Turbo
- abnormalize
- 鮮やかな殺人
- I was music
- DISCO FLIGHT
- Telecastic fake show
- a symmetry
- Sergio Echigo
- #5
2008年発売の“moment A rhythm”でSMARからデビューして10年、活動開始してから15周年という節目の2018年、Five For Youツアーの追加公演。
大阪はフェスティバルホール、東京は国際フォーラムAというサブタイトル通りホール会場にての2公演。
どちらもライブハウスよりずっと大きなキャパシティを湛えた大きな会場だけれどもステージの中心にはいつもの間隔の三角形がある。そういう変わらなさがある一方で、セットリストや演奏はもちろんライトワークは会場を活かした趣向が凝らされている。
そういった押しと引きをうまく操る彼らにずっとドキドキさせられてきたのだと実感させられる2公演でした。
“Chocolate Passion”はMV踏襲のスポットライトオンリーだけど、ツアー本編から少しずつアップデートされている。
東京の“High Energy Vacuum”ではギターのブラッシングでカウントを取って入るはじめてのアレンジ。
久しぶりの“SOSOS”はラウドな曲調の中にある細かな動きを再発見でき、ホールの良さを感じた。
“DIE meets HARD”はツアー本編よりギターが歪んでいてCD音源より長く溜めるチョーキングとあわせて攻撃的なイントロになった。Aメロの「ハチミツ色に彩られた絶望」という歌詞にあわせたハチミツ色のゆらゆら揺れる照明がマッチしている。
「支配したいな」からはCDと違ってタムの押し出しが弱いせいか不安定さの感じるスリップビートで、それもまたかっこよかった。だからこそギターソロの4ビートのタイトさが際立つ。
シングルと同じ流れで演奏されたカップリングの“I'm Machine”はイントロのスネアがホールに高く響き会場の良さが引き立つ。サイケデリックでカラフルな照明はまさにタイムマシンのようにワープしてしまうのではないかと思えるほどに非現実的で、極彩色を使うことの少ない時雨のライブで文字通り異彩を放った。
CD音源からアレンジを変えて最後の「なぜ」はシャウト。エコーと共にホールへ消えていく悲痛な叫びは唐突で、飲み込む間もなく断ち切るようなギターストロークで終わってしまう。
16ビートのファンキーなハイハットから始まるアレンジの“a 7days wonder”. 後のソロプロジェクトの系譜を感じさせる初期のこの曲は長らく演奏されていなかったが、ソロとそして時雨を咀嚼しなおした2018年に演奏されたこの曲は間違いなく凛として時雨の曲になっていた。
カラフルなギターの音色とリリース当時よりタイトになった16ビート、再現を目指すのではなく3人で再構築された“a 7days wonder”.
「7 days wonder」というワンフレーズの瞬間、他の楽器の音が止みスポットライトに照らされた345の伸びやかな歌だけがホールに響いた瞬間を思い出すといまでもゾクゾクする。
“Serial Number of Turbo”のファルセットを使ったTKと345のデュオはツアー本編の“Who's WhoFO”より格段に安定感があり、ピンク色の揺らめく照明と共に幻想的だった。
“abnormalize”は比較的定番といえる曲のひとつだと思われるが、大阪では点滅するバックライト、東京ではTKを照らすスポットライトと今までとは趣向の異なるライトワークでともすればマンネリに陥りがちなナンバーに彩りを添えていた。
MCを挟んでの後半はデビューアルバムの『#4』から“鮮やかな殺人”で再開。曲想にあわせてなのか少し若いというか幼い声色のTKの歌い出し。
メッセージですらないような不可解なアンサンブルは最初からずっと「鮮やかなクラクション」で、ただ人々の注意を求める原始的な信号だったかもしれない。
“I was music”, “DISCO FLIGHT”, “Telecastic fake show”は小さいライブハウスのフロアと変わらない熱気をずっと大きなホールに起こしていた。
“Telecastic fake show”をやった直後にも関わらずハイハット4つのカウントインに戸惑い一瞬なにがなんだかわからなくなってしまうほど突然の“a symmetry”.
「殺したい今ではないよ」からの怒涛のシャウト、ホールに消えていく「まだ誰もいないのに」の余韻の中、天井から降りてくるミラーボール。「“Who's WhoFO”かな?」と思うが聞こえてくる4カポ開放のGとD. まさかまさかと信じられないうちにスネア2つ、キック2つが響く。
ミラーボールから注ぐ青いライトと、オレンジ色のバックライト。サビの「言葉を吐く trasty loose」からは赤と緑が注ぐ。
E-morに転調するとブルーグリーン、G-morに戻ってきた3拍子からは赤いライト。
サビの重たいビートを強調するように響くキックの低音。
弾き語りや当時の高崎フリーズのライブアレンジとは異なりアレンジはCD準拠の4小節からなるブリッジを経てE-mor. クランチの乾いたカッティングは弾き語りでも聞いたことがなかった未知の世界。
「行方知れず 青木華絵 背中見せて少し笑う」から始まる最後の120秒のためのイントロダクションだったのかもしれないと思えるほどのなにかを感じずにはいられなかった。
ずっと聞きたかったけれど10年近くやっていなかった“Sergio Echigo”がまさか聞けるとは思わず感極まってしまった。どれが劣っているということではないけれど、2018年の彼らがやる今の“Sergio Echigo”が史上最もかっこよくて、過去のいつにも負けていないことに感動した。今を見ていることがいちばん幸せだということがなにより嬉しい。
とにかくずっと追い続けていれば絶対にかっこよくて美しいものが見られるという確信が強固なものになり、それがとても心強くて嬉しくて仕方がないとても幸せなひとときでした。
彼らにとってはもちろん、自分にとってもメモリアルな公演となったと思う。
凛として時雨名義のライブの予定は一旦白紙になってしまいその虚脱感に負けそうになるけれど、記憶も薄れて毎日に溺れそうになるころにまた会えるその時を糧にがんばろうと思うのでした。
本当に本当にありがとうございました。メジャーデビュー10周年・結成15周年おめでとうございます。