国道沿いのスーパーで乾いたうどんのかけらを這いつくばって探していたら白人のマフィアに駐車場に連れていかれた。
フレンドリーに話しかけられつつも背中に銃をつきられて流暢な日本語で「どういうことかわかっているよな? もう終わりだ」と言われる。撃鉄が落ちる感覚。「な? わかっただろ。なにもしないって」
安堵して笑ったら背後から撃たれる。なにかが身体を突き抜ける感覚だけがある、痛みはない。けど、「撃たれてしまった」「死ぬ」という強い衝撃があった。
どんどん血が出てきて、よりかかっていた柵を乗り越えて地面に落ちた。血は止まらず、ああ死ぬなあ、やっぱり撃ったじゃん、という諦めがあった。
しかし、瞬間、なにかに気付いた。このままではいけない、死ぬわけにはいかない、そんな気がする。
その瞬間に人間をやめた。犬だったころの記憶を取り戻して、頭を銃で撃たれると死ぬということを思い出した。頭を銃で撃たれた体験はなかったが、銃弾が頭を貫通するとケーブルを引き千切られたかのように頭の中の映像が途切れ、身体はまったく身動きがとれなくなり、やがて意識は薄れて死ぬ、という知識を得た。
手と足の使い方を忘れたが走り方だけは覚えていて四つん這いで国道を走った。