ブランド製品を買い集めるという趣向について長らく理解できていなかったが、コレクションとストーリーへの共感という軸がおおまかにあるということを知りつつある。
コレクションという側面はわかりやすいし、自分も持っている趣向。
入手が困難なものに労力を割いて得た達成感だけではなく、自分のワードローブを作り上げていく内に向いた意欲もある。
レンズ交換式カメラのレンズをどう選んでいくかにも似ている。
よくある「無人島にひとつだけ持っていくなら何?」のより制約の緩い問いに対する答えを出し続ける作業がそれで、野球やサッカーが好きな人なら自分が考えた最強のチームや打線だろう。
別に他人と競い合うわけでなく、とても過酷な選択をあえて自らに強いて審美眼を鍛え続ける、言わば筋トレのようなもの。
自分にとっては色選びがそれにあたるかもしれない。
無難な選択を避けつつ、他人に一定の共感が得られる程度に攻めて、しかし自分のコレクション全体として調和をとる……そういう己との (己のコレクションとの) 内なる駆け引きがおもしろい。
そういった意味では、本当に自分の好きなものを好きに選んで流行とは無縁に暮らすという生き方よりも、ほどよく流行りを知りつつしかし共存を図ってバランスをとるというのも、存外に自我のある暮らしかもしれない。