最近読んだ本

この記事は筆者が見た夢を一人称視点で叙述した内容です。事実ではなく、実際の人物等とは一切関係ありません。

夏期限定トロピカルパフェ事件 (創元推理文庫)

夏期限定トロピカルパフェ事件 (創元推理文庫)

なるほど、『春期限定いちごタルト事件』では小鳩くんの本性が描かれ、では『夏期限定トロピカルパフェ事件』では小山内さんの本性が描かれた、というわけだった。

主人公もモノローグで「あやしい」と言っていたけれども、やはり怪しかった。

どういうことが起きるのかといった「謎」の底はそんなに深くないけれども、その「謎」を呼ぶ小山内さんの人間性の深遠さが理解を拒むというか「そうかもしれないけど、さすがにそんなことはないだろう」という理性が作る壁を壊してしまうかんじがおもしろかった。それでいて、小山内さんの考えることはぎりぎり、ほんの少しだけ共感できるような気がする。

秋期限定栗きんとん事件〈上〉 (創元推理文庫)

秋期限定栗きんとん事件〈上〉 (創元推理文庫)

秋期限定栗きんとん事件 下 (創元推理文庫 M よ 1-6)

秋期限定栗きんとん事件 下 (創元推理文庫 M よ 1-6)

『春期限定いちごタルト事件』を読んだときにおぼえた「こいつらは何様なんだ」という気持ちに対して思いがけないほどはっきりと返答があったようなオチで驚いたような少し感服したような。

単に結末をそのまま言葉にしてしまって受け止めると、けっきょくそういう風に落ち着くのか、という風に感じる気がする。でも読み終わってみると、まあいいんじゃないのか、と思った。上巻の最初から示唆されているし、なにより変にスかしていなくて収まりがいいと思う。見方を変えれば実に俗っぽいというか小市民的だと思う。

新装版 密閉教室 (講談社文庫)

新装版 密閉教室 (講談社文庫)

目が滑った。ラノベは「ラノベである」という色眼鏡をかけて読むので気にせずに読むことができるけど、たとえば普通の文庫本といった様相であるところに荒唐無稽な展開や掘り下げの足りなさが目につくと余計に幻滅というかうんざりさせられるのかもしれない。

殺人事件の背景が荒唐無稽だったかと思ったら動機は俗すぎる、しかし犯人の掘り下げは足りない、などやけにお粗末だな、と思ったら作者のデビュー作らしい。納得はできる。

話の大筋はまあまあおもしろいと思えたし、細かく見てもたまに繊細だな、と思うところはあった。

ただ、殺人というハードな題材を扱っていながら、どうにも本格的にも青春の日常ものにも振り切れていないので、読んだあとはよくわからない気分になった。

退出ゲーム (角川文庫)

退出ゲーム (角川文庫)

吹奏楽部の人たちの話だけれども、特に吹奏楽部における活動はそんなに主だっていない。高校生活におけるミステリという風で古典部シリーズっぽい。

キャラクタがよく立っていて、登場人物はどんどん増えていくけれどもさほど苦なく覚えられた。

こういう、殺人とか決定的になにかがおかしくなってしまうような題材は出てこないが、普通ではない緊張感のある話が好きかもしれない。