この記事は筆者が見た夢を一人称視点で叙述した内容です。事実ではなく、実際の人物等とは一切関係ありません。

とりわけ人間の赤ちゃんは気持ち悪い。生まれて間もないそれは瞼をぎゅっと閉じていて、浮き上がる眼球の輪郭はグロテスクだし、鳴き声は絞り出すようで呪われる気がする。

そもそも伸縮性に富んでいるとはいえ、たかだか直径数cmの膣を乳児が通過するというだけでおぞましい。「男性と女性、どちらがおとくだとおもいますか」と訊かれる機会があったけど、こと出産する可能性がある女性に生まれなくてよかったとはおもう。

生命のなにもかもを美しいと捉えるのもよくわからない。生命にまつわるなにかしらは大抵、グロテスクだし、それを美しいというのはどうかとおもう……。

一体、子孫を残そうとおもって残した人はなぜ残そうとしたのか。子どもをもうけることでなにか叶うのではないか、と少なからず期待したんじゃないか、そしてそれはなんなんだ。子どもをもうけることでどんな未来を見たかったのか、どんな未来に居たかったのか。子ども自身になにかを願うことはなくても、子どもを授かることになんらかの特別ななにかを見出したりしないのか。

自分のことでいっぱいいっぱいになるような器の小さい人間が子どもをもうけてどうしたかったんだろう。別に親は子どものすべてを死ぬまで背負えなんて言うつもりはないけど、親は子に産み落とした業があるはずだ。

家族を増やすことひとつにだって、もっと葛藤や軋轢があるはずで、必要以上に希望をふりまくのは好きじゃない。