大阪に引っ越した直後は地元に帰りたくて仕方がなかったが、京都に引っ越した頃からその気持ちが薄れ、逆転して久しい。
半年ぶりに帰ってみると、改めて充満する死のにおいというか閉塞感のようなものに段々と首が絞められている気がしてならない。
この土地がおれを殺そうとする。
妹が結婚したら家を出ていくだろうし、そうしたら母はひとりになる。
何かあれば自分がなんとかしなければいけない。
でも妹の性格からして、母を一人にはできないのではないか。しかし、だからと言って妹に背負わせるわけにはいかない。そもそも母のことは背負うようなことなのか?こんなことを考えているのは父を追い出したからなのか?
でも父がいたって、ことはそんなに良い方向に変わっていたとも思えない。ふたりだとしても、お互いどちらかが病を抱えたりすれば似たようなものだ。
一体、老いていったり病を抱えるかもしれない家族とどう向き合えばいいのだろう。
今は自立してお互い生活しているが、いつかこの土地に呼び戻されることが怖い。
ここで暮らしたくない。ここで腐りたくない。ここで死にたくない。
嫌いじゃないけど、毒のようなもので、そこで生活し続ければ慢性的な毒を食らうことになるだろう。そのことに気付かぬまま死ぬのは嫌だ。
似たような思いを抱いていたあの人は、最近心境が変わったと言っていた。
毒があるのは本当だったのか、それとも。