I was music
「いいよ おかしくなって」のリフレインが止まらない。Bメロの攻撃的なベースと狂気的に上ずるTKがうまくサビを導いている。
あとなんといってもツーバス連打からインテンポの8ビートは勢いがあってすごくかっこいい。ライヴ映えすることまちがいなし。
シークレットG
ハイハットに物語がある。すごくドラマティック。「感情さえもエレクトリック 君を切り刻んだ」の詞と旋律の美しさはほんとに素晴らしい。
切羽詰まったTKと345の掛け合いでいつも泣きそうになる。「今始まる 君だけのシークレットフェイク」。いい。
シャンディ
リズム隊の二人が見せる前半の不安定さと、後半のどっしりと構えたプレイのコントラストが物語性を与えている。
エディットされたドラムの音色も心地いい。2:37〜のギターリフは休符を効果的につかっているとおもう。"i not crazy am you are" を彷彿とさせるギターソロが印象的。
this is is this?
最初はあまり好きになれそうな感じじゃないなーとおもったんだけど、そんなことはなかった。スルメっぽい。
ずっと後ろで鳴っているアルペジオが頭に残る。シャウトのあとのタッピングの嵐もドラマチック。
a symmetry
リズムがパリッとしていて、カチッ、カチッ、と切り替わっていく。ドラムの連打で押し上げられるようなタテノリが気持ちいい。かと思えば引くような16系のヨコノリに変わる。
この曲もTKの泣きの入ったボーカルが胸打つ。ファルセットとシャウトの巧みな使い分けにゾクゾクさせられる。ドラムとギターの孤独なプレイの上に乗る早口気味なボーカルが焦燥感を駆き立てる。
eF
うん、やっぱりTKの声が好きだ。男声にも女声にもない独特の柔らかさというかしなやかさがあるとおもう。息を多く含む囁くような歌い方が一番色気があって魅力的だとおもう。高音域での張った歌声も素敵。そしてこの曲ではどちらも聴ける。
擦れ気味に歌う「聴けたのかな」も、その伸び切っていない声がいいのだ、とおもえる。
「気のせい」「まだ聴こえる」というリフレインも気持ちいい。すこしモジュレーションがかかった甘いリードギターも泣かせる。
クリスマスにずっと聴いていたい。
Can you kill a secret?
挑発的な歌詞が耳によく届いて気持ちいい。直進的なスピード感とギターのリフがかっこいい。ライヴ映えするんだろうなあ。
1:20〜がかっこよすぎる。ギターの音色、4つ打ちのキックと裏打ちのハイハット。たしかに自分はもうUFOかもしれない。
replica
♭5のテンション感がきもちいい。時雨お得意の、バッキングらしいパートが存在しない殺し合いみたいなせめぎあうプレイで満たされている。
ギターはあまり厚くないけど、リフがすごく耳に残る。Aメロのカッティングさえもかっこいいとおもえてしまう。
フェイザーでぐちゃぐちゃになる壁のようなギターも惚れ惚れする。誰一人として負けていないけど、それでもギターが主役なのかもしれない。
illusion is mine
ACIDMAN + toeみたいなイントロだけど、アタックの強いベースとTKと345の掛け合いがそれらの模倣じゃないと言ってる。
派手さはないけど、溶けるような345の「illusion is mine」が美しいし、奥行を保ったまま激しく踊るドラムとか、とても魅力的だとおもう。
転調した大サビで、二人のパートが入れ替わる瞬間は心臓を鷲掴みにされたようなかんじ。
総括
いままでのどの作品よりも歌心にあふれていて、それはボーカルだけではなくて、ドラムまでもが歌っている。
時雨の魅力のひとつとして美しいメロディがあるが、それが余すことなく詰められているとおもう。過去に例を見ないすばらしい作品だとおもう。