クロアチアその2

ホテルについてそのまま倒れ込んで起きたのは5時くらい。
疲れすぎていて眠りが浅かったのか、異国の地に緊張しているのか。

飲むわけではなかったにせよ、クロアチアの水道水を口に含んですすぐ最初の瞬間はけっこう緊張した。
日本のホテルと変わらないと感じてからは平気になった。

ホテルで朝食を食べるのは帰省したときに家族と出かけて以来だった。
朝の7時前、人もまばら。白米はなくてパンだけ。当たり前だけど。

サラダも盛ったけどレタスがやけにしおしおでおいしくなかった。
パンとスクランブルエッグとソーセージは安定した味。

支度をしてからホテルを出る。昨日はもう日が落ちていたから実質ファーストランディング。

朝早いこともあってとても静か。木陰で談笑している婦人がいた。
ホテルを出た目の前で工事をしていた。左右見渡す限り長く工事していて、道路の周りが砂埃で黄色く汚れている。
初めて目にしたヨーロッパの景色はインドみたいだった。

トラムのプリペイドカードを買うため、真っ直ぐ歩いてキオスクを目指す。
信号のある交差点が少なくて車が掃けるのを待てども待てども掃けず、見かねた(?)車が止まってくれて渡ることができた。

Google Mapsで見つけたキオスクは土曜もやっていると出ていたけど閉まっていた。

もう少し北へ行くと同じ系列の別の店があったので尋ねてみるが、プリペイドは買えないと言われた。
自分の英語が通じなかっただけかもしれないけど、とにかく買えなかったのでミネラルウォーターだけ買った。
あとSIMカードも置いてなかった。

そのまま東に曲がってIlica通りを歩く。傍を青いトラムが駆け抜けていく。

Lotrščak塔まで歩いた。階段を登ると高台に出て、そこからアッパータウンを見下ろして初めてZagrebに来たんだなあという実感をもった。

しばらく旧市街を歩き回る。効率とかなくて同じところをぐるぐるまわったりもするけど、一筆書きとか考え始めたらきりがない。

一通り見たのでJelačića広場に出る。ステージでライブをやってて、何があるのかよくわからなかったけど、楽しげでいいなと思った。

ここのキオスクでSIMを買った。ガラス張りの建物が増えてモダンな都市のイメージが強くなった。銀座っぽい。
ここらへんを歩いていたら英語でアンケートとらせて?みたいなことを聞かれたので早速かーと気を落としつつI'm busy, sorry.で切り抜けた。

また鉢合わせしたらいやなので、それからここらへんに近づきたくなくて行動しづらい。

東から回り込んで聖母皮被昇天大聖堂に向かう。建物の前で民族衣装(?)に身を包んで演奏し踊る人たちがいた。

Dolac市場あたりも見て、暑くなってきたので日陰を求め始めた。

ナイーブアート美術館に入ると展示は2階にあり、受付で荷物を預けて見るようになっている。

チケットを買うとき200Kn紙幣を出したらもっと小さいのは?と言われて焦ったけどなんとか足りた。
この出来事がきっかけでしばらく他のお店に入るのを躊躇した。

展示はナイーブアートだけあって、技術的にどうというより、こういうのを大罪にして副業で描くんだなという発見のほうが大きかった。
20世紀以降なのでドイツの画家がライプツィヒを描いていたりしてる。

日本語のガイドブックがあったので一部もらった。長野の美術館と共同で展示したこともあるらしい。

いい時間になったので鉄道駅近くのお店でグリルポークをテイクアウト(I'd like to take this out.と言ったら一回目はなんのことやらというかんじで、もう一回言ったらtake...away?と訂正されつつ通じた)し、パン屋さんでクロワッサンを買ってホテルに戻った。

暑かったけど鉄道駅近くからトラムに乗ると混んでいそうだしスリがいると聞いたので30分くらい歩いて帰った。

着いてから、SIMカードを交換するためにピンの代わりになるものはないかあれこれ試したけどうまくいかなかった。

ホチキスの針でうまくいったけど、開いたのは反対のMicro SDカードのほうだった……。
同じ調子でいけそうだったけど力尽きた。

移動の疲れが残っていたのか、日差しがきつかったのか、また外に出る元気はなくなったのでホテルで横になってZagreb散策はおしまい。

クロアチアその1

日付変わる前にベッドに入ったけど寝坊したらどうしようと思って寝たのか寝てないのかよくわからないかんじのまま5時にベッドから出る。

6時前の電車に乗ったら意外と通勤通学利用の人がいて驚いた。
もっといないものだとばかり。

はるかで関空まで。途中ほとんど寝ていた。

関空はよく来るけど第一ターミナルの、それも国際線ターミナルは初めて。天井が広い。

オンラインチェックインを済ませていたのでそのまま保安検査。
国内のときとあまり変わらなかったと思う。

シャトルで先端駅まで行ってラウンジで待つ。
カードラウンジだからなのか、日本人しかいなかった。

飛行機に搭乗したものの一向に離陸せず、エンジントラブルの修理に1時間、修理してから動作確認まで1時間かかって、計2時間遅れた。

フランクフルト空港で乗り継ぎが3時間くらいだったので、これはどうなるのか?と思い始めてそわそわしていた。

機内食は噂に聞いていたよりおいしかった。

量が多くて、おなかがすいてなかったら食べきれないな……と思った。帰りは気をつけよう。

11時間も座りっぱなしでかなりきつかった。

フランクフルト空港でザグレブ行きの振り替え出てるかなと思って尋ねるも搭乗ゲートを告げられて、まあ乗れということなんだろうと理解し保安検査を通った。

関空よりかなりきっちりガジェット類をカバンから出させたりボディチェックされた。
厳しかったこと自体より、搭乗に間に合うのか……ということが気がかりだった。

さて次は噂の税関か……と身構えていたけどいつの間にか搭乗ゲートに着いた。

税関を通るのは入国手続きをする場合だけで、乗り継ぎでも税関を通るというのはシェンゲン区域内だからなんだろうか?
(クロアチアはシェンゲン区域ではない)

よくわからないけど面倒なイベントを避けられたのはめでたい。

フランクフルト発も30分くらい遅れて、徹底的にそういう日なんだなと思うしかなかった。

いよいよザグレブ空港に着陸。
関空第二ターミナルみたいな、小綺麗だけどがらんとしていてやけに寂しい。

キオスクでSIMを買いたかったけど売ってなかったので諦めてシャトルバスに乗る。

「欧米系の人」と括りたくなるけど、フランクフルト空港よりがたいのいいミルコ・クロコップみたいな人が多くて、これがクロアチアかー、と感動。

バスターミナルに着いてホテルまでタクシーをつかまえて移動。

先頭から乗ってねと言われたけど、運転手いないやん……と困っていたらホットドッグを食べていたおじさんにtaxi?と聞かれて、ビアガーデンみたいなところで食事していた運転手に声かけてくれた。

いま思ったけどお酒飲んでなかったよね……。

概算で24時間くらい起きていそう、ねむすぎる。

KYOTO GRAPHIE 2017

今日は家の周りで酔っ払いのためのイベントがあるので出かけることにした。

いつも家の近くでパンを買って朝食とするけれど、酔っ払いのためのイベントにより近づけないので何も食べずに家を出る。水くらい飲んでおけばよかったと後から思う。

最終日なのでKYOTO GRAPHIEを見てまわろうと思い、まずは堀川御池ギャラリーから山城知佳子の「土の唄」。

暗室で写真展示を見ていたらズンズン音が響いてくるので連られていったら「土の人」が上映されていた。思ったより音が大きくかつリズミカルでMVっぽかった。

ギャラリーを後にして、久しぶりのBピラフをいただく。Bってビーフなのかなと思いながら上に乗っていた鶏肉を食べた。12時前に入ったら空いていた。12時半くらいから混みだしたのでそれまでに入れたらよいことがわかったのは収穫。

https://www.instagram.com/p/BUD30RghHrM/
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それから歩いて川端まで行ってSfera ExhibitionでSIGMAの写真集コレクションを見た。

Wolfgang Tillmansの作品が目についた気がする。写真展も写真集もあまり頻繁に見るほうではないけれど、外に出ていくつもの写真集をめくって見るということはいままでなく、新鮮でリラックスできた。

写真展は「見てくれ!」っていうかんじで熱量高く作品選びやライティングがされているので「見るぞ!」っていうかんじでこっちも望まないとしんどくなるけど、写真集を眺めるのは図書館にいるのとさほど変わらない緊張感で済むので、心身ともに楽だった。

思えば起きぬけに「土の人」を見るのはかなり過酷だった。

https://www.instagram.com/p/BUD5qzCB1kJ/
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その次は近くだったのでTOILERPAPERの展示を見た。

やけに人が多く、特に家族連れが多かった。それもそのはずで写真展というよりかは美術展示っぽいかんじ。草間弥生展を思い出す。

あまりじっくり見るかんじでもなかったのでさっと見て帰った。

3Fでスタッフが記念撮影していて、よく見たらFUJIFILM GFX 50Sだった。そういえば富士フイルム提供だったなあと思ってよく見たらProfotoのストロボがセッティングされていて、いいものを見た。

それから地下鉄で烏丸御池に戻り、しまだいギャラリーでHanne van der WoudeのEmmy’s Worldを見る。

寝室の写真を中心に展示しているエリアでは床に無造作にシーツが敷かれていて、山や屋外の写真を展示しているエリアでは枯れ草が敷き詰められていた。特に枯れ草が敷かれた部屋は木々の香りも漂って本当に山にいるみたいだった。

「バスタブに入る兄弟たち」のインパクトが強いのでコミカルな展示なのかなと思ったら、写真家が出会った彼ら兄弟が亡くなるまでというストーリーがあって思いがけずショックを受けた。

しかしそういうストーリーがあることを踏まえて見ると「エミーとベン、ベッドにて」なんかは特に言い得ぬ慈愛を感じるし、作品全体が滑稽ながら枯れ草に表れるような少し寂しさもあり、しかし全体的には大仰ではない暖かいかんじがした。

https://www.instagram.com/p/BUECe9NhVsX/
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その次はRaphaël Dallaportaのショーヴェ洞窟を見た。

長編2m近い4Kモニター4つを繋いで360度撮影した写真を展示するというものでとにかく迫力があってよかった。

人をダメにするソファがモニターの前に置いてあって寝転がって見続けられるのが楽しそうだった。

作品が転換するときのフェードアウト・インが、最後にハイライトだけが残り、そしてハイライトから表れてくるため、ハイエストライトの輝点が一瞬、星の瞬きのように見えるときがあってきれいだった。

https://www.instagram.com/p/BUEFwtphjWs/
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それからRobert MapplethorpeのMEMENTO MORI

花の写真という印象を持っていたけど今回の展示的にも一般的にも肖像写真の人っぽい認知をされていそうだった。

こうしてみるとかなり非効率なまわりかたをしている。最初はシグマの写真集展示を見たら植物園にでも行こうかと思っていたので致し方ない。

植物園に行くつもりだったのでDFA★70-200mmを持っていたけれど、街中ばかり歩いていたので持ち出す機会もなく無闇に疲れてしまった。

いよいよあと1週間も切ってそわそわしてきた。

生きて帰ってこられるか心配しているけれど、現実的には、スリに遭うか、寝坊して飛行機に乗り損ねるくらいが問題になると思う。

特に帰りは朝7時半発の飛行機に乗らないといけないのでかなり過酷な早起きになりそう。

高山

連休の谷間にあたる1日と2日にせっかく休みをとったので高山に出かけた。いい時期だし、前回訪れた時は天気も悪く時間も足りず不完全燃焼だったからまた訪れたいとは思っていた。

京都から高山まで

名古屋まで新幹線で出てから特急ひだに乗り換えた。普段仕事がある時よりよっぽど早起きした。

名古屋駅で在来線乗り換え口を出たら図らずしも『君の名は。』と同じアングルだったのでちょっと感動した。せっかくなので味噌カツサンドを買った。

「特急ひだ」と表示されていて「ワイドビューひだ」じゃないことに気がつきつつも表記揺れだと思い込み、深く気にせずグリーン車をとったけれど、中間に連結されていてちょっと戸惑った。

高山1日目

天気がよくて気持ち良かったけれど、気温のわりに日差しが強くて歩きまわっていたらかなり疲れた。


筏橋を渡ってから南下する。途中で杉箇谷神明社に寄った。

まだ桜が咲いていた。




念願の日枝神社。一の鳥居を抜けた先の傍の車道が『氷菓』のシーンままだった。ここにタクシー止まったなあ、と妙に感動した。

杉がたくさん植えられていて日差しが遮られたおかげでだいぶ涼しく、初夏の香りが満ちた境内でしばらく休んだ。人の往来はあるものの混雑とはほど遠く、京都の喧騒が遠く感じられた。

川を渡って、また歩いてさんまちの方に戻る。けっこう暑かったのでバスで戻ることも考えたけれど、ちょうど行き過ぎてしまったところで次は1時間半も後だったので諦めた。

再び20分以上歩いて筏橋の西詰に戻ってきた。


橋の近くで昼食を摂って休憩。日差しはどんどん強くなってきてかなり疲れた。この日差しのまま真夏になったら大変なことになりそう。

昼食を摂った店は店員が繁忙に慣れていなさそうな印象で、料理を運んだり待っている客を案内するのに行ったり来たりしていて、その熟れていない風が新鮮だった。飛騨牛バーガーは素気なく出された。

日陰で休んだものの思ったより疲れていて、もうしばらく別のところで休もうかと思うけど手頃なところも見つからないので、宮川朝市を歩きながら北にある桜山八幡宮を目指すことにした。

目指すと決めて顔を上げれば向こうに巨大な鳥居が見える。


「Tシャツ屋」の看板に「やばい」を書き足したい。


「だがし」と来たら「かし」まで書きたい。


小川の傍には桜がまだ咲いていて、すこしだけタイムスリップしたかのよう。



飛騨一ノ宮まで足を伸ばしたいけれど八幡宮を出てからゆったり歩いていたら目当ての電車を逃がしてしまった。

これも縁だと思うことにして「かつて」へ。

https://www.instagram.com/p/BTlH59ABKY4/
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2階の窓際の席に通してもらった。普通の喫茶店よりも静かで雰囲気のあるにも関わらず、畳が敷かれていて座りこむことができるからか、不思議と落ち着けた。

窓から向かいの建物に達筆で「産科婦人科」と書かれていてやけに立地の良い病院だなと思っていたら、単なる作品で建物とは関係なかった。

再び高山駅へ戻り、飛騨一ノ宮へ。この写真は飛騨古川の方を向いているので、実際に乗った電車は背中側に向かう。

無人駅で人もいないけれどきれいにされているためか、不思議と寂しい印象はなかった。少しずつ傾いてきた連休前の平日。


水無神社を目指して歩く。目的は神社だけれど、道中、宮川の川辺が美しい。



連休中に祭りがあるようでその設営がされていた。人のいない神社、ただ祭りの予感だけがあるというちぐはぐな様子がおもしろい。特に夕暮れ時の境内にできあがった即席のステージは西日に透ける薄膜の神秘さと裏腹に俗世めいていて笑えそうなほどだった。


神社を背にして東のほうへ出てみれば、文字通り桜の花道ができていた。

駅に戻る道すがらふと北を向けば遠くに冠雪した山を望んだ。国見山だろうか。

旭川も京都も盆地だけれども、これほどまでに表情豊かに山に囲まれる景色は見たことがない。

高山に戻ってから一旦ホテルにチェックインし、シャワーを浴びた。

せっかく遠出してきたので奮発して飛騨牛を食べようと思い立って店を探し、出向いた。

https://www.instagram.com/p/BTlpO86Beeb/
飛騨牛ステーキすごかった……

店員さんに「旅行ですか?」と話しかけられて一言二言の会話をしたけれど、さりげなくてまったく嫌なかんじはしなかった。

高かったしお店の雰囲気もそれに見合ったものでありながら堅苦しいところはなくて落ち着いていただくことができた。こんなにおいしいステーキは初めてだった……。

ホテルに帰る道程はすこし肌寒かったけれど春より前に戻るほどではなく、オレンジ色の街灯に静まり返った夜の空気で酔いを覚ましながら、ここで生まれ育つことを想像してみていた。