最新の9巻まで読んだのでネタバレありの感想。
しまむらがとても味のある良い子で好きだなあ。
直情径行で奇行が多い安達も面白いけれど、作中でしまむらが指摘しているように社交性が幼いまま周りだけが成長しているためそのギャップを埋めようとして空回りしている節が目立つだけで行動原理はとてもシンプル。
対してしまむらは人との向き合い方は変え続けている。正論で傷つけんとする剥き出しの刃のような中学の頃、無難な顔を繕いつつも不慣れ故に疲れてサボる高1、安達と出会って釣り糸を垂らす、樽見に再会し過去を切り捨てていく生き方を見つめ直した時、ゴンに再会した時、安達の血反吐まみれを咀嚼して答えた時……。
変わり続けられるしなやかさを持ち続けられているのは素敵で、一方でそれが掴みどころのないという印象を周りに与えているんだろう。
しまむらは「これから安達とどんな時間を過ごしていくかわからないけれど楽しみだ」というようなことを言っていた気がするけれど、しまむらがどうあるのかはとても楽しみだと思う。
もちろん安達もずっとしどろもどろなわけではなくて、ちゃんとしまむらの気を引けるようにあれこれ考えているのでずっと同じ在り方でいるわけでもないけれど。
しまむらが言っていたけれど、なまじ自分を客観視できるだけの冷静さと成熟した精神性を持っているだけに戸惑うことが多いのだろうなあ。もっと幼いままでいれば無邪気でいられただろうけれど。
高校生より未来の話がいくつか示されているように、安達としまむらの話であって、高校生の彼女たちの話ではないんだろう。
変わっていくことは当たり前で、そのシーソーゲームを二人がどう楽しんでいるのかがただひたすら続くのだろうと思うと、とてもいい雰囲気の物語だと思う。
- 作者:入間 人間
- 発売日: 2014/08/16
- メディア: Kindle版
- 作者:入間 人間
- 発売日: 2016/07/10
- メディア: Kindle版
6巻はすごくしまむらの素敵なところがよく表れていて好き。何度か読み返した。