フィンランド、エストニア、ラトヴィア3カ国に出かけた

この記事は筆者が見た夢を一人称視点で叙述した内容です。事実ではなく、実際の人物等とは一切関係ありません。

昨年に海が見たくてクロアチアに行って以来、また出かけたいなあという気持ちが高まったので今年はフィンランド、エストニア、そしてラトヴィアに出かけた。

行き先を決めるまで

年明けくらいにストラヴィンスキー大好き期がやって来て、いろんな演奏を聞いたり調べているうちに『序奏』のバスーンの旋律がリトアニア民謡を翻案したものだということを知ってリトアニアという国に興味を持った。

『春の祭典』のあらすじは、キリスト教化される前のロシアを舞台に、スラヴ神話における太陽神イアリロに捧げる儀式と生贄というもの。春を迎えられた喜びと来年もまた変わらず太陽が訪れてくれますようにという願いを込めての儀式は、長く暗い冬が訪れるロシアの風景らしい。

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↑元になったリトアニア民謡の“Tu mano seserėle” (『我が妹よ』の意らしい) の演奏。

リトアニアはキリスト教化された今日においても、アニミズムが盛んだった時代の風習が色濃く残っているらしい。ストラヴィンスキーもそんなところに惹かれて引用したのかどうか。

そういうことがあり俄然リトアニアという国に興味を持ち、いわゆるバルト三国と括られる国に出かけてみようかと思ったのがきっかけ。

バルト三国に向かうには南のリトアニアから行くにせよ北のエストニアから行くにせよ直通便はないのでどこかを経由することになる。至近はフィンランドはヘルシンキで、こっちも気になる。

7日という予定だけは決めており、フィンランドを含めて4カ国を巡るのはさすがにスケジュールがタイトになりすぎてしまうので、どこかを削ろうと思い悩んだ結果、エストニアよりリトアニアのほうがスケジュールを組みやすかったのであえなく残念ながら今回は見送ることに。

出発までの準備

一度出かけてだいたいの勘は掴めたしパスポートも取得したから、不安なこともなくやることも、基本は前回の旅行をなぞるかたちで準備した。

前回と違うのは複数の国を巡ることだけれども、いずれの国もシェンゲン協定に加入しているからとても簡素な手続きであることを調べて確認した。実際、フィンランド→エストニアもエストニア→ラトヴィアもフェリーないしバスに乗る前にパスポートとチケットを見せたらほとんどスルーだった。アジア系なのでもうちょっと突っ込まれたりするのかと思ったけれどそんなこともなかった。

その他、国ごとの交通事情とか見たいところのメモとかはNotionにまとめていった。国ごとのページを作ってそこにつらつら書いていくスタイル。そこらへんの話は前に日記に書いた

持ち物

Notionのページより:

  • ガジェット
    • [x] HTC U11
    • [x] SIMスロットを開けるピン
    • [x] SIM (Three)
    • [x] モバイルバッテリ
    • [x] 変換プラグ
    • [x] USB A-Cケーブル
    • [x] USB C-Cケーブル
    • [x] MicroUSB-USB Aケーブル
    • [x] Kindle Paperwhite
    • [x] WI-1000x
    • [x] MicroUSB-3.5mmジャック変換アダプタ
    • [x] Anker PowerPort
  • カメラ
    • [x] α7R III
    • [x] 16-35mm GM
    • [x] 28mm F2
    • [x] 55mm F1.8
    • [x] ストラップ
  • 衣類
    • [x] 下着 x 5
    • [x] 靴下 x 5
    • [x] インナー x 5
    • [x] レインパーカー
    • [x] バケットハット
    • [x] オーバーグラス
  • 書類・重要
    • [x] パスポート
    • [x] 航空券
    • [x] ホテルバウチャー (ヘルシンキ)
    • [x] ホテルバウチャー (タリン)
    • [x] ホテルバウチャー (リガ)
    • [x] バウチャー (フェリー)
    • [x] バウチャー (バス)
    • [x] クレジットカード (UC)
    • [ ] クレジットカード (J-WEST)
  • 消耗品
    • [x] ポーチ
    • [x] シャンプー
    • [x] トリートメント
    • [x] 化粧水
    • [x] 洗顔料
    • [x] ボディソープ
    • [x] 制汗クリーム
    • [x] リップクリーム
    • [ ] マスク
    • [ ] のど飴
    • [x] カミソリ

その他、セントレアの無印で薄いバレエシューズをスリッパ代わりに買った。バックパックの書類とか入れる後ろポケットにすっぽり入る薄さだったのでちょうどよかった。

バウチャー類は紙も一応持っていったけれどスキャンしたデータをGoogle Driveのフォルダにアップロードしてスマフォにオフライン利用できるようダウンロードしておいた。

カメラとレンズ

今年はPENTAX K-1を引き払いSONY α7R IIIを持っていった。圧倒的に身軽になり荷造りして、また歩きまわって感動しきりだった。

FE 55mm F1.8 ZAとFE 28mm F2, FE 16-35mm F2.8 GMの3本。一番大きいのはFE 16-35mm F2.8 GMだけれども重さはなんと680gで見た目よりずっと軽い。のでつけっぱなしでも苦にならず、特に入り組んだ旧市街で撮ってまわるのに重宝した。

しかし一番は55mmのハンドリングの良さと明るさで、歩きまわるのにまったく邪魔にならず疲れず、普段の視野よりちょっと狭いくらいの画角が見たものを残すのにとてもぴったりだった。

写真

2018Finlandカテゴリを付けてぼちぼち置いていこうと思う。

各国の印象

フィンランド

ヘルシンキは通りが格子状で合理的なつくり。通りを一本抜けるとおしゃれなカフェが並んでいたり、ブティックが並んでいたり、ころころ表情を変えるのも京都に似ている。

Kiasmaは展示の充実度からすると圧倒的に入場料が安かったしもらったパンフレットを見ると毎月子連れだと無料で参加できるイベントをやっているようで、意識がだいぶ違うなあという印象を受けた。

Kiasmaがあるあたりはショッピングモールや日本でいう百貨店みたいなお店が立ち並んでいるエリアで、トラムの停留所に並ぶ人の多さを見てもおそらく繁華街にあたるのだろうけれど、そういった賑やかなエリアから南や東の静かなエリアまで歩いてみても、調和が崩されることは一度もなくどこまでも美しかった。

突出したなにかがあるわけではないけれど、かなり広い範囲に渡って一定のクオリティが保たれているのがすごいなあと感じた。それは落書きがないことだったり、緑の豊かさだったり、ひとつひとつは些細なことだけれども。

クロアチアのザグレヴは、中心部から外れると更地や手入れの行き届いていないらしい建物が現れたりと気の抜けた側面が見えたりしたものだった。それはエストニアのタリンやラトヴィアのリガもそう。おそらくほとんどの街がそうで、ヘルシンキも歩けばいずれ境界を踏むことはあるだろうと思う。しかしその調和のとれた範囲の広さこそが、街の美しさであり、もっと歩いて巡ってみたいと思わせる魅力なんだろうなあ、と思った。

到着した次の日、朝露に濡れて光る石畳と、まだ蒸し暑い日本の気候を一瞬で忘れさせた朝のしんとした空気は、遠い先まで心に残る予感がする。

エストニア

ヘルシンキがそんな風であまりに良かったので、タリンに期待していないわけではないけれども、もっと粗の多いようなところを想像していたことは否めない。

しかし訪れてみると、モダンなヨーロッパ風の新市街と伝統的な旧市街の距離の近さがそのままギャップとなってとても好きになった。

新市街の車通りの多さや賑やかさは日本のようにも思えつつ、ガラス張りのモダンな建物が多くヨーロッパの首都らしいビジュアルだった。

そこからほとんど壁ひとつ越えたくらいのところにある旧市街は、四方を壁と丘に囲まれていることから、どこかミニチュアめいた雰囲気が漂った。ヘルシンキの隅々まで自然に漂う風格に対し、良い意味で箱庭感がある。

ヘルシンキは建物にロシアの影響を感じた (特に屋根) けれど、タリンはそれが薄れドイツっぽい尖塔のようなつくりが目立ったのもまた印象的。

タリンの旧市街は通りが入り組んでいてぐるぐる行ったり来たりしたけれど、この不合理なかんじはヘルシンキにはなかったのでこれはこれで楽しい。

ラトヴィア

とにかく人が多いという印象が強い。訪れたのが土日だったことに加えて、日曜日にはなにかイベントをやっていたようだった。

タリンはもちろんヘルシンキよりも人が多く活気に溢れている印象で、トラムのちょっとひなびた旧ソ連っぽいかんじはエキゾチックでもあり、乾いたコンクリートが剥き出しの大通りをたくさんの人が歩くさまはアジアっぽくも見えた。ちょうどその日はタリンより7℃も気温が高く、暑いくらいだったせいもあるかもしれない。

ラトヴィアの旧市街は、つくりはタリンに似て通りが入り乱れ壁に囲まれているが、スケールはより大きく歩きまわるとはるかに疲れる。ただ、大きい通りを歩いていれば自然と目印となる中心の広場に戻るようにはなっているので、道に迷いやすいというほどではない。

ヘルシンキ (フィンランド) とタリン (エストニア) と比べて最もロシアくささが薄く、ドイツ色が濃く見えた。ハンザ同盟の港町として栄えたらしいので、そういった縁があるのだと思う。

旧市街だけではなく、新市街のほうにはアールヌーヴォー建築が立ち並ぶエリアがあり、まったく別の街に来たのかと思うほどだった。

しかし人口比ではフィンランド含むバルト三国の中では最もロシア系住民の割合が高く、ラトヴィア国籍の認定で問題を抱えているらしく、そうしたことは街を歩くくらいではなかなかわからないものだった。

おわりに

今度はリトアニアにも行きたいけれど、もう一度訪れたいと強く思うほどの場所にも出会えた。

タリンはのべ24時間くらいしか滞在できなかったのでもっと見てまわりたい。特にもうちょっと足をのばすと整いきっていないソ連っぽい住宅地があるらしい。

ヘルシンキは冬にも訪れてみたいと思った。

また、今回はじめて複数の国を訪れてみた。想像以上に近く、またバスで移動したときには国境が曖昧でなにか国の違いがはっきり見えるものはなにもなくて、それがヨーロッパらしい風景なのかと思うと、かなり興奮した。興奮したし、民族とは何なのか、境界とは何なのか、いまさらのことのように考えこんだりもした。

知識としては話す言語をもとに民族が分類されるということは知っていたけれど、たしかにこうして国境をまたぐ瞬間を目にすると、同じヨーロッパだったら本当にそれくらいしか分類に使えるものはないだろうといったことも強く感じた。

良くも悪くも自分がしたことは「観光」でしかないし、何をわかったつもりになるのは危ういとも思うが、何もかもわからなかったということもなかったと思う。

また、来年もどこかに行きたい。