- 作者: 秋枝
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2017/11/17
- メディア: コミック
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買った。ずっとKindleで読んでいたけど続きが気になりすぎて紙で買った。
以下、ネタバレ。
全編通してほんとうにいい作品だったな、と思う!!!
ラブコメって「人を好きになるってけっきょく本能だよね」っていう前置きがあって、それを軸にまわる話がこれまで多かったと思うけど、『恋は光』はそうではなく「人を好きになるとは、恋とは何か」について徹底的に理詰めで登場人物たちが悩み、そしてついには結論を得た点があまり類を見ないプロットで、そこが大きな魅力になったと思う。
センセこと西条さんがなぜ光が見えたのか・光とはなんなのかを一般化して掘り下げず、あくまで「西条にとって光はなんなのか」という捉え方を全員がしていたのも、光とはあくまで西条さんの思考を可視化した舞台装置であり、その先にある「西条の考える恋とは何なのか」だけを徹底的にテーマとした結果なのだと思う。
だから同様に光が見える大洲央が表れても、光の定義を一般化することを試みず、大洲央のケースを踏まえて「西条にとっての光」を追究することになった。
1巻の時点で、なんなら「恋が光として見える」という設定が示された時点で西条さんと東雲さんがくっつくことはほぼわかりきっていて、どういう経緯を経て二人がくっつくのか、いわばwhy-done-itではなくhow-done-itの物語だった。
わかりきっていたのはなぜかというと、西条さんと東雲さんの二人だけが「恋とは何なのか」を希求していたからに他ならない。
北代さんは西条さんを悪からず思っているけどそれが何であるのか考えようとしなかったし、宿木さんも恋は本能的にするものと信じて疑うこともしなかった。
なので『恋は光』の不思議を求めるヒロインたりえなかった。
しかし最終的に西条さんが「恋とは何なのか」という答えを出すためには、宿木さんが実際に彼女として西条さんに恋愛・交際体験をもたらすことは欠かせなかった、特に誰かから奪わないと生じることはないということを示したことは大きいはず。
北代さんの「先天的な愛・無償の愛」は、「後天的な愛・奪う恋」を得るための対比としてやはり欠かせなかったことはもちろん、そもそも恋が何かという話の前に西条さんが人間性を保つための、大前提となるものだった。
だから選ばれた二人は西条さんと東雲さんになったわけだけれども、そこに至るどこをとっても出会ったのがこの4人でなければいけなかったし、逆を言えばだからこそ抗いようのなかった北代さんと宿木さんの立場になるとものすごく胸が痛い……。
しかし作品として区切りはついたものの、4人の生活はこれからも続くし、あっさり東雲さんと破局してほかの2人を知るということもありえる話ではある。
とにかく「恋とは何なのか」を突き詰めたラブコメとして非常に意欲的で楽しい作品でした。今生の北代さんに幸がありますように。