雪の京都2017

この記事は筆者が見た夢を一人称視点で叙述した内容です。事実ではなく、実際の人物等とは一切関係ありません。

週末の京都は大雪に見舞われた。天気予報を見て週末に雪マークが燦然と踊っているのを見て、いつになくワクワクした。

家を出て大徳寺。歩きまわっているあいだに強く降りだした。

手袋が薄すぎて手がかじかんできたし、朝ご飯を食べずに飛び出してきてもうお昼時だったし、近くでごはんを食べた。

絵本がたくさん置いてある小さなお店だった。スープをいただいたけれど、びっくりするくらい量が少なくて唖然としてしまった。あったまりはした。

手はまだ冷たいからどうしようか悩んだけれど、こんな時間がいつまでも続くかわからないから、上賀茂神社へ向かった。

遠くに見える雪化粧。

帰っている途中でさすがに耐えられなくてコンビニでもうちょっと厚い手袋を買った。凍傷になったらどうしようか心配になったけれど、あたたかいぶどうジュースを飲んだら元気になった。

河原町のモンベルでフィッシンググローブを買って明日に備える。


土曜日の雪の勢いはおさまらず、日曜日はほとんど一日中降りそうな予報だったので、早起きすることを決めた。

はたして7時に起きて外を見てみれば、景色だけでいえば北海道と大差ないような白。

浮つきながら嵐電に乗る。

朝の嵐山は冗談みたいにひどく吹雪いていて、ここはどこなんだろうと戸惑う。

でも、きっとかなりいいことが起きる予感がする。

天龍寺は、月並だけれど水墨画のような、モノクロと静寂に包まれていた。人がいなくて静かなのは都合がいいけれど、しかしこんな景色、そうそう目にできないのだから閑散としているのはもったいないなあ、とも思った。

雪が静かに反響を閉じ込めた、デッドな世界。

御髪神社の近くの池は氷が張っていて、真ん中あたりに鴨がいた。大丈夫だったんだろうか。

常寂光寺は高台にあり、嵯峨野のあたりを眺められる展望台があったものの、吹雪で視界は遠くまで及ばない。

塔のあたりで滑って転んだけれど、これきりだった。

晴れてきたし、おなかが空いてきたので嵐山に戻る。駅の近くのタリーズで暖をとってから、嵐電に乗る。

途中、ちょっと迷ったけれど車折神社で降りた。


日が出てほとんどみぞれだったし、足元はぐちゃぐちゃだった。暖かいのはいいけれど、さっきまでの吹雪がすこし名残惜しい。

おそらくフィルムの645と思しきカメラで写真を撮っている人がいて気になったけど、けっきょく声をかけずに帰った。

しかし帰りの電車を待っているあいだに、みるみる天気が悪くなりまた吹雪いてきたので、ひそかに安心していた。

嵐電天神川で降りてから地下鉄で烏丸御池まで。カメラがびしょ濡れになってタオルが使い物にならなくなったので、再びモンベルで高給水性のタオルを買った。

あとこれ:

webshop.montbell.jp

ソークアップタオルは防腐剤が塗布されているので洗ってから使ってくれと書いてあったので洗ったら手が荒れてしまった。

少し休んでから地下鉄、京阪を経由して叡電へ。出町柳駅は思っていたよりも人が多かった。やはりみんな貴船に行こうとしている。

二軒茶屋のあたりから吹雪きはじめて期待が高まる。雪が降るのは歓迎。

貴船は奥座敷と言われても、まあ言っても近畿圏の山中程度なので日中にずいぶん溶けて足元はぐちゃぐちゃになっていた。もうちょっと新雪が保たれているかと思ったけれど。

とはいえ、川辺は白いままで、湿り気のある重そうな雪が積もった木々と、降りしきるほとんどみぞれのような雪は、やはり北海道とは違う京都の風景らしかった。

ただでさえ狭く離合のむずかしい峠をいつもより輪をかけて多い徒歩の観光客と具合の悪い足元で、やけに疲れる30分のハイキングを経て本宮。

参道で三脚を立てている人はさすがにほとんどいなかったけれど、スマートフォンを掲げて写真を撮る人がたくさんいて異様な雰囲気だった。

どちらかといえば暗く足元の悪い30分のハイキングのほうが楽しかった。

勢いの衰えることのない雪は、暗闇に融けていくよう。夜の降雪の、この平衡感覚が狂わされてしまう危うさはずっと好きで、ずっと立ち尽して二度と正常な感覚を取り戻せなくなってしまいたいという願望に駆られることもある。大抵は寒さでおかしくなりそうになるけど。

参道の混み具合と対称的に、参拝する人は少なくて拍子抜けした。自分も大して敬虔だとはいえないが、せっかく足元悪い中やってきたのだからもっと挨拶くらいしてもいいのにとは思う。それに水の神様なのだから、やはり参拝すればきっとまたこういう奇跡的な日だってやってくることを期待してもいいはず。

帰りは疲れたし寒いからバスに乗ろうかと思ったけど、もはや1台に乗りきるはずのない人が並んでいたので、諦めて歩いて叡山電車の駅まで向かうことにした。下りなので上りより楽なはず。

実際のところ帰りは水が染みてきた足元がつらかったくらいで、手や体はましだった。

貴船口駅はまた人がごったがえしていて、1面のホームは駅員が整理しなければ押されて落ちる人がいてもおかしくなかったし、おまけに次の出町柳行きは30分後でだいぶ気が滅入った。

15分はやく鞍馬行きが来たので、これに乗ってターミナルの鞍馬駅から確実に座ることにした。あれだけ人がいて混み合う電車を立ったまま30分すごすくらいなら、貴船口から鞍馬までの運賃数百円くらいを払うほうがましだった。


大雪に見舞われたとはいえ京都なのでさして冷え込まずせいぜい氷点下2℃程度だったので、持ち合わせの衣類を組み合わせたら冷えは問題にならなかった。

下はヒートテックタイツ、上は肌に近いほうからモンベルの夏用メッシュインナー、モンベルの長袖メリノウールインナー、ユニクロのヒートテックハイネック、モンベルのジャケットを着た。

問題は末端で、日曜日は土曜日の反省を活かし、指先は秋冬用の自転車グローブが薄手なのでインナーにし、その上からモンベルのフィッシンググローブを履いた。

足元は Rapha のぴったり目のソックスの上にマウナケアのソックスを履き、 mobus の防滴スニーカーみたいなやつを履いたけど、これはぜんぜんだめで午後には水が染みてきて貴船ハイクで決定的に濡れてつらかった。

マウナケアのソックスはあったかいし、色合いがかわいくて気に入っている。革のブーツにも合わせやすくて便利。

lifetime-g.com

防水で歩き回るのに適している靴がないので買っておきたい。

佐藤健寿さんが愛用しているダナーライトがよさそうだなあと思っている。たしかにぎりぎりレストランとかに履いていけそうで普通のトレッキングシューズの類よりよさそう。

定番 | Products | Danner | ダナー オフィシャルサイト

カメラはもちろん PENTAX K-1. 防塵防滴なのでなんら心配はしていない。雪がずっと降っていたのでクロスを持ち出すよりブロアを使うほうが効率がよかった。レンズの前玉は撥水コーティングが効いているし、ダイヤルの隙間に入り込んだ雪が融けた水滴はどちらにせよクロスでは拭えない。

鞄に仕舞う前にさっとクロスで全体の水滴を拭く、という運用。

レンズは DFA 15-30mm F2.8 と DFA☆ 70-200mm F2.8 と DA☆ 55mm F1.4 を持っていったけれど、ほとんど 15-30mm で撮っていた。

DFA☆ 70-200mm はインナーズームで可動部がほとんど露出していないし、DFA 15-30mm は組み込みのフードで覆われていて、防塵防滴という性能以上にけっこう安心感があったように思う。

こうしてみると自転車関連で買い足した衣類や小物類がかなり役立った。

あと、防塵防滴のズームは天気の悪いときにかなり便利だなと気付いた。雨や雪が降っているときにレンズ交換はしたくないので、しばらくつけっぱなしにできるのは助かる。

本当は24-105mmクラスがほしいけど、PENTAX 28-105mm F3.5-5.6は特に望遠端が暗すぎてあまり欲しいと思わない。

高感度が使えるといっても、日が落ち切ったあとで照明の乏しいところで木とかを撮りたいときは、やはり感度をあまり上げたくないのでせめて F4 はほしいし、できれば F2.8 がほしい。

カメラ・レンズ共に一通りいろいろ撮影する分に困らない状態になったので、あとは撮る人間の腕を上げるだけだなあ。