
- 作者: 米澤穂信
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2004/12/18
- メディア: 文庫
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読んだ。けっこう短くて数時間で読み終わった。短編が連なっていて、それぞれもあっさりしているのですんなり読み進められた。
これを読んでから考えると『王とサーカス』はけっこう堅くて重かったな……。
増長した自意識に無自覚なまま行動して恥をかいた経験を糧に「小市民」なるロールモデルを立てて行動する二人ということだけれども、読んでて思うに、彼らが思う「小市民」像について「小市民」という言葉を用いて表現している時点でうまくいっていないというか、見下してしまっていて、それはつまり自意識が増長しているということだと思う。
高校生くらいの年頃で、男女二人として冷やかされるのはけっこう嫌なことだと思うけれども、それを淡々と受け止められるのは達観しているのか、それともそう思われたいと思っているのか。前者ができるほど人間的にできてなさそうだから後者なのかなと思うけれども、しかしそういう展開もなかなか寒い気がする。
古典部シリーズの原作をまた読み返してみて気付いたのは、原作だと奉太郎の一人称で進んでいくのでけっこうすれた印象が強かった。
アニメだと物語の捉え方という意味での一人称・三人称はあれども、カメラという絶対的な三人称がいるのでどうしても客観的になって、そうすると視野も広くなって人間関係が少しフラットに見つめることができる。
小説だとカメラも一人称と一体化させられる。だから叙述トリックも成立する。
なんてことを考えていた。