この記事は筆者が見た夢を一人称視点で叙述した内容です。事実ではなく、実際の人物等とは一切関係ありません。

自然の風景を撮影しているとき、息が上がりがちになる。美しさに呑まれているのか、高揚感に伴って身体が反応したのか、文字通り呼吸を忘れてしまう。身体がふらふらになって酸素が足りていないことに気がつく。

「風景撮影に三脚は必須」というのは、呼吸困難になって撮影者が倒れないように(あるいは倒れてしまってもカメラが壊れないように)という意味もあるのかも、とおもった。手ぶれする危険やシャッタースピードを自由に変えられる恩恵を考えれば、三脚はあったほうがいいとおもうが、それでも手持ちにこだわってみたい、ともおもう。手持ちでファインダーを覗いて息を止めてシャッターを切る。これほど緊張感にあふれる体験は日常の中にはなく、不思議な高揚感がとても気持ちいい。なんとなく身体がぽかぽかするようでもある。

自然の美しさをとらえきることは人間には不可能なのかもしれない。人間がその自然のある姿を切り取り、収めようとすることこそおこがましいのかもしれない。それでも、愚かしくもとらえようと試み続けていきたいし、いつかはより多くの美しさをとらえたい、とおもうのである……。