金沢で年越し

この記事は筆者が見た夢を一人称視点で叙述した内容です。事実ではなく、実際の人物等とは一切関係ありません。

今年は年末年始の暦があまり具合のよいものではなかったので帰省しないことにしていた。

掃除もぼちぼち済ませ、外食しようにも年末年始の休みに入って選びようがなくなってきたなあと思っていた大晦日、ふと金沢なら今 (15時) からでも行けるよなと思い立って、楽天トラベルでホテルを調べたら普通に空きがあるし高騰もしていなかったので、サンダーバードとホテルを予約して出かけることにした。

和歌山か三重で初日の出を見るのもいいなと思って調べたけれど、車なしでいい場所へ行くにはなかなか骨が折れそうなのでうやむやになった。けれど、せっかく帰省せずに自由に行動できるのだしという気持ちはまだあった。

2ヶ月前に初めて訪れてからもしばらくまた行きたいなと思っていたから、気持ちと機会がうまいこと噛み合った。

帰省ラッシュをぎりぎりかわしたのだろう、サンダーバードには空きがあって拍子抜けした。

あらかじめ調べて駅の近くで食事するあてがあることを調べた。向こうに着いてあてが外れてコンビニで済ませることになればあまりに寂しい。駅の近くで到着後の時間に寿司が食べられるお店を見つけたので駅弁など買わずに乗る。

金沢駅に着くと思ったより人はいない。まあもうすぐ新年まで4時間ほどといった頃合いなので当然という気もする。

金沢フォーラスで寿司を食べる予定だったけれど、空いている入口が見つけられなくて一周するはめになった。「正面入口からお入りください」という看板が立っているが、その正面入口とは……。けっきょく最初に見つけた入口が正面入口で、よく見ると空いていた。「正面入口からお入りください」と書かれた看板が立っている入口が正面入口だなんてなかなか温かい歓迎。

無事に見つけてにぎり桶と地酒の黒帯悠々をいただく。

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でろでろした

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わけのわからない状態

黒帯 | 福光屋オフィシャルサイト

行き当たりばったりで出かけてきた興奮がまだ醒めていなくて、味についておいしかった以上のことは覚えていない。ただネタのどれもが本当に溶けていくようですごい体験だった。

普段は日本酒をまったく飲まないけれど、お寿司にビールでもないかなと思って地酒の黒帯悠々を頼んだ。さっぱりとしていて飲みやすかった。

しかし日本酒をどれくらい自分が飲めるのかわからないのでちびちび飲んでいたらお腹いっぱいになってあまり飲めなかった。味噌汁と茶碗蒸しのついたセットだったので、なおのことお腹が膨れた。

味噌汁は魚の粗汁みたいな雰囲気でものすごくおいしかった。白身で脂がよく乗って出汁と葱の風味がよく混ざってどんどん箸が進む。あれはのどぐろだったのかな。

ホテルにチェックインしたら喫煙可の部屋でけっこうにおいがきつくてげんなりした。大浴場へ行くあいだ窓をあけて換気したけど焼け石に水だった。

お風呂に入ってぼんやりしていたらいつのまにか年を越していた。


7時くらいに起きて支度をしてチェックアウト。元日でどこもやっていないので駅ビルで和食を食べる。温泉卵がおいしかった。


元日の朝だからかがらんとした金沢駅の西口。そもそも東口のほうがバスターミナルがあったり鼓門があったりでメインストリート感はあるのでいつもこういうかんじなのかも。

飲食店に限らず美術館とかもやっていないのでどう歩こうかなと悩んでいたけれど、とりあえず東へ歩いて浅野神社を目指す。

橋を渡ると一気に地方都市感が増したように思うのは元日でがらんとしているだけではないはず。Google Maps が示すルートはとんでもないことも多いけれど、住宅街の中を通るちょっと気後れするような道へも背中を押してくれるので嫌いじゃない。


浅野神社は住宅街の中にあるこじんまりとした神社だった。元旦ということで甘酒が振る舞われていた。


浅野神社を出るころには晴れ間が見えてきた。好天は期待していなかったけれど、ちょっと欲が出てくる。雪が降ってもよかったけれど。

さらに20分ほど歩いてひがし茶屋街へ。



小京都って、ぶっちゃけ京都の下位互換だよね、みたいなことは金沢も思っているらしく自ら小京都ということはないらしい。まあそうだよね。

実際、京都に住んでいる人間としてどうなのかというと、まあここだけを目的地に金沢には来ないだろうなあというところ。

元日の朝なのでほとんど店は開いてなくてただ建物を眺めるくらいだったけれど、むしろそれくらいで楽しめた。あまり茶屋とかは行かないので……。

茶屋街の中心から一本挟んだ路地にはちょっと古風な家が並ぶ住宅街になっていて、この圧縮感は祇園などにはないものでおもしろかった。

てきとうに歩いていたら坂があったので登っていった。とりあえず高いところへいくといいことがあるはず。


しばらく登ると小さな公園があり、気付けばかなり晴れてきていた。

もうちょっと登るとお寺があって、展望台のようなスペースがあった。あとから調べてここは卯辰山の麓らしいとわかった。


レンズ交換しているうちにセンサーにごみがついたらしい……。わりと早い段階で気付けてよかった。

再び茶屋街に戻り、抜けて川のそばを歩きながら梅の橋を渡る。向こう岸に渡って近江市場を目指す。しかし近江市場はほとんど閉まっていた。まあ元日だしなあ。


ここから金沢城近くの尾崎神社を目指して歩く。小雨がだんだんとぱらついてきたけれど日は差しているので大丈夫だろうとたかをくくる。

さすがに歩き疲れてきたのでどこかで休もうと近江市場のあたりに出てきたら雨が強くなってきたので近くのスタバに逃げ込む。広々とした店内は空いていて、はじめて元日らしさを感じた。

昼前に差し掛かっており、ちょっと小腹もすいていたのでビスケットもいただいた。小一時間ほど休んで外に出ると嘘のように晴れた空が広がっていた。

冬の金沢で晴れ間を見ることができるとやけに嬉しい。

ちょっと歩いて尾山神社を目指してみたものの、初詣客がかなり並んでいて鳥居だけ見て帰った。

この前来たときは金沢城は見なかったので、金沢城公園を巡ってみた。かれこれ2時間くらいいたみたい。とにかく天気がよく雨上がりということもあって照り返しがきつかった。

広島もそうだし、金沢はこういう大きな緑地があることと、街に高低差があって抑揚のあるところが好きだと思う。京都にも二条城はあるけれど、あからさまに観光地で文字通り見て眺めるだけ。金沢城公園は、公園というだけあって開かれている。

そのぶん金沢城自体はしょぼいけど。第二次世界大戦で本丸は焼失したらしい。よくもわるくも遺産というものに人は縛られるという例だと思う。それで街を立てている京都みたいなところもあるのでよしあしを言えるものではないけれど。もし、たとえば主たる観光地が焼け落ちてほとんど好きなように開発できるとして、果たして京都のこの狭苦しい路地は残るんだろうか、とも思う。

ひととおり歩き回って、21世紀美術館の外観だけでも見て帰ろうと思ったので西へ歩いて香林坊のほうへ。


もちろん美術館は閉まっているのでまわりをぐるっと眺めて帰るだけ。

香林坊のほうに出てきて、武家屋敷を見て帰るかと思ってよってみたけれど、いまいちピンとこなかった。

天気がいいし歩いて駅まで向かおうと思っていたけれど、日も暮れてきたし疲れてしまったのでバスに乗った。

金沢駅でお土産を買いつつ、特急の予約をして一服する。本当はもう一度寿司を食べたかったけれど、並んでいたし近江市場も閉まっていたのでまた今度かな。そのかわり駅弁を買った。


前回とはうって変わって観光地らしい観光地を巡ったけれど元日なのでどこもあいておらず、アンバランスだった。とはいえ、人が少なかったし、穏やかな金沢を見ることができてよかった。

今回は駅の近くにホテルをとったけれど、さほど便利ではないので片町のあたりにとるのがよさそう (前回はそうした)。