君の名は。

この記事は筆者が見た夢を一人称視点で叙述した内容です。事実ではなく、実際の人物等とは一切関係ありません。

金曜日と日曜日に見た。


一度目は時系列が入り乱れていたこともあるけどそれ以上に映像にヒきつつ圧倒されていたのであまり内容が頭に入ってこなかった。

女子高生の所作に対するフェティッシュな描写を力が入っているなと思いつつもずいぶん手が込んでるなとけっこうヒいた。どれだけ女子高生が好きなんだよみたいな。

妹がシニカルで小学生とは思えなくておもしろかった。当て擦りを言ってくるクラスメイトも机を蹴り倒すくらいで収まるので高校生まではひどい悪意もあまりなく穏やかに見れた。

一方で三葉の父の黒い繋がりはあっさり描かれてそのままだけにかなり重く写った。まるで当たり前だというかのようだった。

「入れ替わっている?!」からの『前前前世』への繋ぎは CM っぽいかんじでしかし盛り上がってニクい。

三葉と瀧が入れ替わる初期は、瀧が中にいると眉をよく動かして強い表情を見せる一方、三葉が中にいると柔和に笑ったり少し幼ない顔付きになるけど、後半のカタワレ時で言葉を交わすあたりがそういう描きわけが曖昧になっていくのがおもしろい。

使命感と危機感に燃えて動く三葉の表情は力強く、それは目元によく現れた。一方でカタワレ時の瀧は少ししおらしく、「君の名は!」と叫ぶ声はとても心細そう。キャラクターが入り乱れはじめるのは、組紐を返すあたりからのような気がしていて、それもムスビのひとつなのかもと思うといい演出だなあと思う。

モチーフだけを取り上げるとありふれた題材といえそうだけれども、一葉から語られたムスビこそが神だという世界観が、二人の入れ替わりを単なるタイムトラベル、パラレルワールドものに終わらせず物語全体を貫いているので、単に絵が綺麗なラブコメ以上の充実感があった。

とはいえ新宿の橋の上で二人がすれ違うシーンがあってそのまま引いていこうとするので、ああそこで落ち着いてしまうのね、とけっこう落ち込んだ。単なるタイムトラベルやパラレルワールドを経たラブコメじゃない高揚感があったので期待したけど、そんなことなかったんだ、みたいな。

しかしそこからさらにもう一押しあってのラストシーンはめちゃめちゃ良かった。「やっと!!!」ってガッツポーズしたくなった。文字通り二人はちゃんと会ったことがなくてこの瞬間に初めて会ったので、終わるものはないから始まるしかないのだ、ということなんだろうけど。何かあるとしたらこれからだよ、ということでもあるんだろうけど。

映画のタイトルがタイトルだったので、ラストシーンないしクライマックスに二人がこの台詞を口にすることはもはや決まっていたので、どういうドラマでそこに至るのかなとドキドキしていたけれど、その台詞に至る前に話は最高潮に達していて締めの一言となるのだった。


奥寺先輩がかなり可愛かったなあ。小悪魔っぽいかんじもしつつ、しかし年下の瀧を気遣うお姉さんっぽさもあって。

しかし三葉も表情豊かでこの子もかわいい。秋祭りの日、髪を切って現れたときの艶っぽくもあどけない表情はだいぶヤバかった。


時系列が行ったり来たりして最初は戸惑ったので、二度見れば確実に物語もビジュアルも楽しめそう。二回目は余裕があって周りの差異に目をやれるので、何をきっかけに変わっていくのかとかもわかってきてより楽しくなるのは、タイムトラベルものの常かもしれない。

とてもストレートな作品で、見たあとに嫌な余韻がほとんど残らないとても楽しい作品だった。『言の葉の庭』なんかもいいんだけど、耽美的というか悪く言うと自己陶酔的な結末が棘を残すかんじだったので、ちゃんとお話として締まるところまで締まったというだけでも尊い。