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リカーシブル

リカーシブル (新潮文庫)

リカーシブル (新潮文庫)

読んだ。前に読んだのが『追想五断章』だったのでぐっと年齢が下がり少し親しみやすいというより懐しいかんじ。

地方都市の閉塞感は身につまされる。福山や岡山の北長瀬、岐阜、あるいは四国のことを考えていた。カーディーラーとファミレスとラブホテルしかないバイパス沿いに閑散を越して退廃とさえ言いたくなる商店街。

ハルカは中一でこんなに気を回すような性格で、いっそ「なってしまった」と言ったほうがいいのかもしれないけど、自分がこれくらいの年のころにこんなに他人のことは考えられなかったし想像もしてなかったなと思う。自分は今でもこんなに自分の振る舞いが他人にどんな印象を与えるだろうと考えないし、慎重に値踏みするよりもここまでは安易に受け入れてもよいというラインを設けて考えることを諦めてきているので、対してハルカは本当に気苦労が多そうだなと思う。本人はまだ自覚していないだろうけれど。

ミステリともホラーともサスペンスともつかない嫌な緊張がずっと続いていて夜に読むんじゃなかったと後悔した。

いま、何歳なのか。
意外と面白い返事が聞けるかもしれない。

前後を踏まえると結局タマナヒメが超常的な何かと関わりがあるとにおわせているのだろうけれど、卓袱台を二度ひっくりかえされたような気分でどっちなんだと言いたくなる。

願望としてはもうちょっと地に足がついた話だといい。

「いちおう、お姉ちゃんだからね」

ハルカから自発的にこんな言葉が出てきたことはとても尊いと思う。家族は血縁によって規定されるだけのものではないし、ましてや待人なんかでは決してないということの意味をまだハルカはよくわかっていないかもしれない。

ハルカがサトルの味方になろうと言い出したことは、つまりサトルに味方になってと言っているようなものだと思う。