先週までに3回、『劇場版 PSYCHO-PASS』を見た。
予告編から気になっていた英語は、まあ、そんなものか、と思ったら気にならなくなった。それよりスタッフロールで字幕を担当したのが戸田奈津子だと知って、2回目からは色眼鏡で見てしまった。
予告編でぜんぜん顔を見せないので、咬噛の登場はもうちょっと引っ張るのかと思いきや、あっさりと登場した印象が強かった。
二期を経て、常森さんと咬噛を見ると、咬噛のことを追いかけて振り回されていた一期と違って、お互いいろいろあったんだな、という雰囲気が出て、不思議な二人だなあ、と思った。
夜のベースキャンプでの会話の雰囲気は、対等とまでは言わずとも、もう少し距離は縮まっていたように見えた。
シナリオはさして捻りが効いているとは思わなかったけれども、不思議と満足感はあったので、力でねじ伏せる種類のアニメ映画だったのかな、と思う。
東南アジア (主だってカンボジアあたり?) の雰囲気の描写が細かくてよかった。葬儀のシーンとか、一度も訪れたことがないけれども夏の東南アジアの蒸し暑さを思って不快に感じるくらいだった。絶対に虫が多いよなあ、とか。
以下、尊いポイント:
- 「まるで昔の刑事みたいですね」と言う霜月監視官
- 柱に対象に並ぶ常森さんと六合塚さん
- シャキッとドミネーターを構える雛河
- 柱の陰からデコンポーザーを放つ六合塚さん
- 「唐之杜分析官は悪くありません」と言う霜月監視官
- 「却下されたよ」と言う宜野座さん
- 雨に濡れて髪がぺたっとなる常森さん
- 小声で話しながら泳ぐ常森さん
- 「俺を捕まえにこい」と言う咬噛に対する常森さんの「咬噛さん……」
- デスモンドの「ふー」
- シーアンに駆け付けてからの霜月監視官
- 「騙せるわけないじゃないですか」
- 「為すべき者が為すべきを為す。……空気読めってことですよ、先輩」
- オープンテラスでごはんを食べながらニュースを見ている霜月監視官
大きなスクリーンに大写しになる常森さんのシャワーシーンを前にただただ無表情・無感情になるばかりだった。
客観的にサービスシーンのつもりなんだな、っていうことがわかるけれども、感情は無という感じなのは、視線がおっさんっぽいからかもしれない。
隙がなくて仕事モードの常森さんの着替えシーンとか裸とか、かわいらしさとかあんまりなくて、ただ扇情的なかんじしか残らないからかもしれない。
そういう意味では、サービスシーンとしては、「咬噛さん……」っていうあの一言のほうがグッとくるというか、二期を見たあとだと大きなカタルシスがある気がする。やっと力が抜けたね、みたいな。
劇場版の霜月監視官は、二期の「矮小さ」「陰険」「人として踏み外してはならない一線を越えてしまう愚かさ」といった印象 (あるいは事実) はなんだったのかと忘れさせてくれるくらい人柄が立っているというか、劇場版の出演だけを見ると単にちょっと嫌味な後輩くらいになっていて、俄然、かわいさが溢れてきた。
「はあ、まるで昔の刑事みたいですね」のシーン、不思議と気が抜けていて、言いえぬ色気があってとてもよかった。
終盤の登場シーンで、ドミネーターが収容された箱で苛立たしげに指をトントン叩く仕草もかわいかった。
二期の印象だと、もっと陰険な言い方をしていた気がしてならない。「先輩はこんなこともわからないけれども、自分はわかっていた、だからより優秀なのだ」くらいのオーラを出したと思うけれども、そうならなかった。まあいろいろあるにせよ、そうならなかったという点については成長といってよいと思う。
二期を見ていたときからそうだったけれども、どうも霜月監視官ばかり見ている気がする。とてもかわいらしい。
『トーキョーグール』の雨宮天さんや『PSYCHO-PASS』の佐倉綾音さんの演技がとても好きで、たぶん少し低い女性の声が好きなんだと思う。
艶があるけれどもあどけなさも残っているところが好きなのかも。