この記事は筆者が見た夢を一人称視点で叙述した内容です。事実ではなく、実際の人物等とは一切関係ありません。

月曜日、連休最後の日。

近頃の休日は憂鬱だ。有意義に過ごさなければ、という気持ちに急かされている。
休日の一日くらいは安心して無計画にだらだらしたい。

やりかけの部屋の掃除と模様替えをする。
外は曇り空。昨日までの秋晴れが恋しくなる。

なんとか片を付けた時点でまだ日没までに余裕があったので自転車で出かけることにした。
桂川沿いにひたすら南下していくことだけを決めた。

カバンにはレインコートと GXR だけを入れて、動きやすい服装で。

城南宮のあたりまではよかったけれど、そこから南は道沿いに雑草が伸びていて蚊柱のような虫の群れの中を突っ込んでいくことになって、とても気持ち悪かった。
途中、橋梁の二階部分を乗用車が走り、一階部分を歩行者や自転車が通る構造に遭遇してドキドキした。
道幅は広く、曇り空の下で穏やかな陰影が無機物に付く景色は、どこかで見たようなしかし初めて見るファンタジックな都市風景だった。

淀城址まで来て、天王山に落ちる夕焼けを眺めてから引き返した。
ほんの少し立って眺めていただけなのにおびただしい数の虫刺されができていた。

既に帰り道はわかっていたので、段々と感覚が研ぎ澄まされていき意識を集中させて無心になった。
こんなにも心が空になったことなんてあっただろうかというくらい不思議な体験だった。
記憶はあるけど感情はないので、体験が陳述のように淡々と保存されていて、今思い返しても、他人の撮影したビデオを鑑賞するかのような幽体離脱じみたひとときだった。