この記事は筆者が見た夢を一人称視点で叙述した内容です。事実ではなく、実際の人物等とは一切関係ありません。

ずいぶん京都での生活に慣れた。

日曜日に北海道から帰ってきた。「帰って」きたのだ。大阪に住んでいたころ、学生だった頃はとにかく大阪に戻るのが嫌だった。ずっと北海道に、実家にいたい、と思ってばかりいた。それでも北海道で、地元ですることもないので、どのように腐っていくかだけが自分の選択権の及ぶ限りだった。

もう自分の帰属意識ははっきりとこちらにある。


地元を出てから、大阪や京都をはじめとしていくつかの町を訪れてみた。

賑いの乏しい町もあって、それを「田舎」とも呼んだりするのかもしれない。どれだけそんな町を見ても、地元はまだ「違う」のだと思い込んでいた。

でも、そうではなくて、明白に、確かに、残酷に、しっかりと衰えていた。閑散とした町並みと閉ざされた地平線。どこにも繋がっていないのだ、切り離されているのだ、という感覚に襲われて、前に住んでいたあたりを歩くのが怖かった。

まだ、地元を出たことのなかった自分には、なんとかしてここから逃げてほしい。ここにあるものとないもの、ここではないどこかにあるものとないもの、たぶん求めているのはここにないもので、それはここではないどこかで見つけられると思う。ここで生まれて、ここで死ぬな。