人間は死ぬ、あるいは信仰

この記事は筆者が見た夢を一人称視点で叙述した内容です。事実ではなく、実際の人物等とは一切関係ありません。

いまでも「夢みたいなことが起きた」とおもっていて、思い出を守るために「これは現実だ」「夢や空想ではない」と強く言い聞かせているけど、現実感はずっと湧かない。

ただ、記憶が劣化していくにつれて、あの子は神様みたいなものになりつつある。

ディティールが劣化して輪郭が曖昧になって美化が強められて人間性を失い、人間という概念から一段階、抽象度を上げた存在に変わっていく。

神様だとか理想だとか夢だとか、そういう抽象度が高くて美しいものなら、これまでも、これからも憧れ、信仰しつづけることも許されるんじゃないだろうか、とおもって納得した。

まったく今でも信じ難いけど、あの子はたしかに人間だった。おれは人間だったあの子と出会って、それであの子は神様になった。人間だったあの子も同じ街を探せば見つかるだろうが、神様は心の中にいるのだから、それで問題ないだろう。